担任の先生は教卓の上でプリントの束を整えながら、クラス全体を見渡す。


「そういえば、明日から転校生が来るって言ってあったか?忘れてたらすまん」


あまりにも唐突な話に『言ってなかったよ先生!』とクラスメイトが口々に言い、いつもはあっさりと終わるはずのホームルームが賑やかなものに一変する。


「そうだったか。すまん」


(転校生…どんな人が来るのかな)


そう考えてみるけれど、どうしても劇の主人公役という不安要素に意識が引っ張られる。

私の高校の学祭はあまり規模か大きくないから、おばけ屋敷と劇をやるクラスに生徒が集まりやすい。


(あー、優先輩にも見られるのかな…)


どうせ見られて恥ずかしい思いをするなら、せめて春ちゃんに思いっきり可愛くしてもらおう。