リミット



「そういえば聞いてください!テストの点数、すごく良かったです!」


荷物を置いて、和子ちゃんは嬉しそうに俺のほうを向く。


「本当?それはよかった」

「今まで取ったことないような点数でびっくりしました!」


周りを明るくさせる笑顔で和子ちゃんは話す。

そんな和子ちゃんを見てると、自分まで嬉しくなってきて自然と口元が緩んだ。


「頑張ったね」


ぽん、と和子ちゃんの頭に手を置いて撫でる。

無意識だった。


「え、と…」


和子ちゃんは戸惑ったように、少しだけ目線を上げて、俺をうかがうように見る。


「あ…」


やったのは自分なのにどうしていいかわからず、おずおずと手を離した。


「ごめん、なんか無意識に…」

「いえ…」