リミット



~優side~


(さよならです…って変わってるなあ)

思わず笑ってしまった。

いや、和子ちゃんは初めて会ったときから変わった子だった。

改札を通りながら、また笑いがこみ上げる。


ふと、問題に正解したときの、嬉しそうな和子ちゃんの顔が浮かんだ。

この間、試合で点を決めた時と同じような本当に嬉しそうな笑顔だった。


今日、和子ちゃんは髪を結んでいなくて、隣を歩く黒髪はふわふわと風に揺れていた。

同学年の女子よりも小柄な体。

寒そうな細い首筋が印象的だった。


…俺はなに考えているんだ?変態か。


「…………」


自分の思考になんとなく恥ずかしくなって、マフラーに顔を埋めて歩いた。