リミット



「じゃあまたね」


優先輩がマフラーから顔を上げてはにかむ。


「ありがとうございました!さよなら、です」


図書館から駅までの道はいつもより短く感じて、緊張したままぎこちなく言葉を返した。


「ばいばい」


ふっと笑って、先輩は階段を登っていった。


(なんで笑ったんだろう…変なこと言ったかな)


しばらく考えてみたけれど、浮ついたままの思考では何も思いつかない。

私は考えることを諦めて家への道を歩き出した。