「あー、分かりにくいな、あそこ。一緒に行くよ。それ重そうだし」


考えるように目線を左上に向けてから、先輩はそう言った。

その言葉に私は慌てて首を横に降る。


「え、いいですよ。先輩に手伝わせるなんて…」

「いいの。俺は暇だし、笑っちゃったお詫びで」


そんな風に言われたら断る理由なんて浮かんでこない。

圧倒的な先輩力を前に、私は素直に頼ることを選んだ。


「…ありがとうございます」


ペコリと頭を下げると、先輩は笑って


「どういたしまして」


と言った。


(優しい人だな)