資料室の机に運んできた荷物を置いて一息つく。
ぼんやりとしていれば、少し開いた窓の外から吹奏楽部が楽器を吹く音が遠く聞こえてきた。
音の調整でもしているのか、メロディのない一定の高さの音が続く。
窓の外は晴れやかで眩しい。
だけどどうしてか、この資料室は寒い。
ガチャ
「あ、和子ちゃんだったか」
この声は優先輩だ。
会えて、声をかけてくれて嬉しい。
だけど会いたくなかった。
私は息を吸い込み、ゆっくりと振り返る。
「こんにちは」
笑顔を作れているのだろうか。
優先輩は持ってきた資料を近くの棚に置き、私の不安をよそに笑顔を向けてくれる。
「体調はどう?」
「え?」
「この前、練習試合のとき体調悪そうだったから」
先輩が一歩、私に近づいた。


