「優先輩だ…」
抱きついた温もり、抱きしめ返してくれる腕。
それらが、優先輩がいる、と私に実感させて、思わず呟いた。
「うん?そうだよ」
優先輩は不思議そうに笑って、背中をぽん、とする。
私はさらに抱きついて、先輩の肩に顔を伏せた。
「お、甘えん坊」
楽しそうな声が聞こえて、笑っているのが振動で伝わる。
甘えん坊でもなんでもいいや。先輩の隣にいられるなら。
「…それ、すごい口説き文句だね」
ふいの優先輩の言葉に、顔を上げる。
あれ、今、口に出してた…?
口元を押さえて呆然とする私に、優先輩はまた笑う。
「俺も、和子ちゃんがいればなんでもいいかな」
「…そうですか」
恥ずかしくて、思わずつっけんどんに返すと先輩に頭をぽん、とされる。
「じゃ、行こうか」
立ち上がった先輩に腕を引かれて、自分も立ち上がる。
「どこに行くんですか?」
手をつないだまま歩き出す優先輩をうかがうと、楽しそうな笑顔で振り向く。


