「和子ちゃん」
覗き込むようにされて、名前を呼ぶ声が近い。
思わず体を引いた私を、優先輩は楽しそうに笑った。
「あー、和子ちゃんおもしろい」
言われた言葉は、地味に失礼だ。
でも、そんな楽しそうな顔をされたら許しちゃうじゃないですか…。
優先輩を鋭く見て小さく抗議すると、膝の上で握っていた私の手に優先輩の手が重ねられた。
「ごめんね、寂しい思いさせて」
その言葉に、また首を横に振るだけで答える。
「和子ちゃん、ほら」
その言葉に目を向けると、優先輩が誘うように両手を広げている。
優しく笑う目に見つめられて、考えるよりも早く体が動いた。
その首元にすがりつくように腕を回して、ぎゅっと抱きついた。
先輩の腕が背中を支えるように置かれて、胸が苦しくなる。
優先輩に会いたかった。触れたかった。
その温もりを感じたかった。
優先輩に甘えて、自分はそれが許される存在だということを確かめさせてほしかった。
これが、好きってことなのかな。


