リミット



***

結局、待ち合わせた駅から電車に乗って隣町でぶらぶらと過ごした。


「先輩!海ですよ!海!」


すでに夕方。オレンジに染まる海と空を眺めてはしゃぐ私。


「うん、海だねー」


「海なんて何年ぶりに見たかな…」


「え、そんなに?」


「家の近くに海なんてないですから」


少しむくれる私に、優先輩は笑う。


私は、靴を脱いで波際まで行く。


「冷たい!気持ちいいですよ」


昼の暑さが残る、生暖かい風が吹き抜ける。


先輩はまた、優しく笑っている。


あぁ、もうだから、その表情はずるいです。


たまらなく優先輩が愛おしくなって、私を見つめる先輩のもとに駆けた。