たぶん赤いと思われる顔を押さえて、先輩の手を取った。
「頼りにしますよ」
大きい優先輩の手。
ぎゅっと握って、お化け屋敷の入り口に向かう。
「俺がいるから大丈夫」
優先輩は、そう不敵に笑って、さらに私をドキドキさせた。
***
「くっ…ふはは…」
「ちょっと先輩、笑いすぎです!」
お化け屋敷からようやく出た私は、肩で呼吸をしながら優先輩に意見する。
「だって、あんなに怖がることないのに」
ぽんっと頭に先輩の手がのる。
「楽しかった。ありがとう」
楽しかったのは先輩だけです!
怖くて先輩に何度しがみついたことか。
「あれだけ怖がってくれると、脅かす方もやりがいあるよなー」
独り言のように優先輩は呟く。


