「…あ゛~、もう。ここどこよ~」

ただいま道に迷い中。

だいたい広すぎんのよここは。

不良校なんだから少しは狭くしなさいよ。

それに校舎がめっちゃ綺麗。

ごみ一つ、埃一つ落ちてない。

落書きもされてないしタバコの匂いなんてもちろんしない。

ほんとにここ不良校?

私の中での不良のイメージが崩れた気がした。

しばらく歩くとなんと壁にたどり着いた。

まさかの行き止まり。

…うそでしょ~。

「…ねぇ、ねぇ」

…ッ!?

勢いよく振り向くとチャラそうな男がいた。

「きみどうしてここにいるの?」

「……」

「ねぇってば」

「………」

「ねぇ、聞いてる?」

男を前にすると自動的に一言もしゃべらなくなってしまう私。

もちろん演技だけど。

私がだんまりなのが気にくわないのか一気に近づいてきた男。

「……ッ!?」

男が私の顔を覗き込もうと少し屈んだ瞬間。

「…うぐッ…!?」

私の足が“勝ってに”彼の大事なところをクリーンヒットしてた。

…やっちゃった…。

男が立ち直る前に全力疾走で一目散に退散する。

「…お、おい…!!ま、待て…!」

待てと言われておとなしく待つバカな奴がいるか!

しかし私は本物のバカだった。