「生徒会長挨拶。」
一人の少女がステージへと優雅に上った。
「新生徒会長、桐崎亜依。」
名前が読み上げられると、ワッと、歓声が上がっていた。だが、俺の耳には届いていなかった。なぜなら、桐崎亜依という少女はあまりに美しかったからだ。
言うなれば神が作り上げた最高傑作。とでも例えるべきだろうか。
俺は完全に心を奪われていた。
「ごめんなさい。挨拶出来ないわ。少し声を抑えて貰えないかしら?」
彼女が困り果てた顔で言っていた。
ふと、時計を見て見るとあれから五分も経っていた。かなり長い時間彼女に見とれていたみたいだ。
「それでは、始めますね…。日差しも暖かくなり、私達は新しい学年へと上がりました。皆さん、新鮮な気持ちで門をくぐったかと思います。」
それから先はあまり覚えていない。唯一覚えているのは、頬を赤く染めながら彼女を目に焼き付けている事だけ。
2日前、一目惚れなんてアホがする事だなどと鼻で笑っていた自分を物凄く殴りたくなった。