「私…昔から太ってたから…男の子にあまり優しくされた事とかなくて」

ブランコを漕ぐのを止めて、アゲハが続けた。

「好きな人出来て、勇気だして告白しても、
体型が駄目だって振られちゃうし…」

「…」

「だから先輩みたいに、優しくされると期待しちゃうんです…」

アゲハの目から一滴の涙が溢れた。

「泣くな…俺は本気って言っただろ」

「好ぎに…ヒック…なっぢゃっだらどうじよ…ヒック」

「フッ…俺は好きになってくれた方が嬉しいけど」

そっと手を伸ばし、泣きじゃくるアゲハの涙を指で拭った。

「泣き止まないと、キスするぞ」

「んなっ!?だ、大丈夫!!大丈夫です。ほら、泣き止みました」

厳禁なヤツ。

コイツと一緒だと飽きないな、心が暖かくなる感じがした。

コイツになら…アゲハになら言えると思った。

「俺…両親居ねぇんだ。でも姉貴が居て、昔から親代わりな感じ。ずっと二人だったから家事とか分担で料理も出来んだよ」

「…」

「それで、愛情とかそうゆうの分かんなくて、適当にケンカしたり、女作ったりしてた」

「…」