「1週間後はいよいよ前期球技大会です。なので今日はメンバー決めをします」


7月。
俺達4組の委員長であるなっちゃんこと小野夏実(おの なつみ)が1週間後に控えられた球技大会についての話をしている。
それと同時に少しざわつく教室。


「は~い委員長~、俺達5人共バレー出ま~す」


右手を挙げてそう言うと、俺の言った通りに俺とりょうと玲斗とセツ子と奏ちゃんの名前を黒板に書き出した。


「ナル、もう1人必要だよ??」


「そうだな、バレー6人だもんな」


俺を見ながら言うりょうと、黒板を見ながら言ったセツ子。


「もう1人は大和君を入れてくださ~い」


もう1度手を挙げてそう伝えると、一番下に書かれた大和(やまと)の字。


「ねぇ、大和って??」


「いや、俺も誰だか知らねー」


奏ちゃんの質問に首を振る玲斗。


「俺のバイト仲間兼合コン仲間~」


えっ、みんな、そんな「大丈夫かそいつ」みたいな顔で俺の方向かないで!?
憐れみの顔も止めて!?


「以上で球技大会について終わります。みんな、1週間後の球技大会頑張ろうね!」


気付けばメンバー決めは終了したらしく、なっちゃんがみんなと志気を高め合っていた。


「球技大会楽しみだな~、今年はミキぽんのプレー見れるしね~」


「ナルまた新しい女かよ」


「ナルの女癖も困ったものだね」


「ねぇ、何で今日は大和とかミキぽんとか知らないやつの名前多いの??」


俺の言葉の後コソコソと何かを話し出した玲斗とりょうと奏ちゃん。
何を話してるかわからないけど、俺を冷めた目で見るの止めてくれない??




そして1週間後、球技大会1日目。
制服から体操服へ着替えるために更衣室へ移動した俺達はもう1人のチームメートを待っていた。


「結局大和君1回も練習に来なかったね」


「だな、大丈夫なのか??」


心配そうに眉をひそめるりょうと玲斗。


「大丈夫だよ~、あっ!ミキぽ~ん」


こちらに向かって歩いて来るミキぽんに手を振れば、4人もそっちへ目を向けた。


「ちょっと、ミキぽんって男だったの??」


呆れたようにそう言った奏ちゃん。
あれ??知らなかったの??


「よーっすミキ」


片手を挙げてミキぽんに挨拶するセツ子。
そんなセツ子に3人は驚いた顔をした。


「ミキぽんサボリ魔だから3人は面識なかったんだね~」


そんな話をしているとすぐそばまでやって来たミキぽん。


「ミキぽんこと大和幹哉君(やまと みきや)で~す」


「ミキぽんと大和君同一人物だったんだね」


俺の言葉に苦笑いでそう返したりょう。