その後は順調に跳び1度もバーを落とさず終えた。


「そろそろ帰るよ、ありがとう」


ハル君や部員達にそう伝えlibertyへ帰ろうとした。


「長坂、誕生日おめでとう」


思いっきり投げつけられた物を何とかキャッチして見てみるとリストバンドだった。


「ありがとうハル君」


ポケットにそれを仕舞い、お礼を言って陸上部から離れて行った。


「長坂先輩!」


libertyの部室へ帰ろうとしていたら、廊下ですごくよく知っている声に呼び止められた。


「瑠美ちゃん」


その声の主は瑠美ちゃんで、俺を見つけると安心したようにホッと息をついた。


「どうかしたの??」


そう声をかけると瑠美ちゃんはそっと俺の前へ何かを差し出した。


「今日、お誕生日だと聞いたので……それであの……よかったら……」


目の前には真っ白のリボンがかけられた箱。
誰から聞いたのかはわからないけど俺の誕生日を知っていてくれた瑠美ちゃん。
俺は嬉しくなって目の前のそれを受け取った。


「ありがとう、すごく嬉しい」


「お誕生日おめでとうございます」


お礼の言葉を言うと、パァッと明るい笑顔を向けてくれ、紡がれたおめでとうの言葉。


「瑠美ちゃんから言われるのもいいかな」


「何がですか??」


思っていたことがそのまま口に出た俺の言葉を不思議そうに尋ねてきた瑠美ちゃん。


「いや、こっちの話」


笑ってそう言ってあげるとよくわからないと言う風に首を傾げた。
その姿にハハッと笑い、もう1度お礼を言って別れた。




家に帰り自分の部屋で鞄の中から、もらったプレゼントを取り出した。
リョーからは腕時計。
瀬那からはハット。
ナルからは和歌の本とイヤリング。
玲斗からはペンダントとリング。
そして瑠美ちゃんからはフルーツタルトと木製のブレスレット。


「どれもすごく嬉しいよ」


中に入っていた物はどれも俺の好みの物で、それをわかってくれているみんなに感謝した。


「みんな、本当にありがとう……」


誕生日なんて別にどうでもいいと思っていた。
だけどやっぱり、こうして俺のことをちゃんと考えて祝ってくれるみんなからならすごく嬉しくて、誕生日っていいななんて思う。


「来年もこうであればいいのに」


来年の誕生日を今から楽しみにするなんて柄じゃないこともわかっている。
だけどついそう思ってしまったのは、今年がすごく嬉しかったから。

0時に届いたおめでとうの言葉達。
0時まで起きとこうなんて気はない俺は今日の朝起きてこれを見た。
起きていなかった俺に怒ったりせず、笑顔を向けてくれたみんな。
それを思ってふっと笑い自分の部屋を出た。

「本当にありがとうね」