床にボールが落ちるとワーッと騒がしくなる体育館。
ピースをしてアピールすると聞こえてくる拍手と笑い声。

それからみんなそれぞれの練習に戻って行った。
俺も伸びを1つしてそろそろ自分の練習に戻ろうとした。


「岡本先輩」


俺の名前を呼びながらタオルとドリンクを渡してくれた伊吹。


「サンキュー!」


それらを受け取りお礼を言うと、何か言いたげな顔をしていた。


「どした??何か言いたそうだけど」


「えっ!?……あっ、えっと……」


驚いた顔をした後、言い辛そうに目線を下げた。


「部活終わったら、5分だけ時間ください」


「おぉ、別に何分でもいいけどな」


「いいえ!5分で十分です、それでは」


1礼して走って行く伊吹。
俺はそれに首を傾げて自分の練習に戻った。


「玲斗~、俺先にliberty行ってるね~」


「え??」


当然のように先に部室から出て行こうとするナル。


「舞璃ちゃん待ってるでしょ~??」


ニヤニヤ笑うその顔が腹立つけど、まあ説明しなくていいのは楽だ。
何で知ってるのかはわかんねーけど。


「伊吹お疲れ」


ナルが部室から出て行き俺もその後すぐに部室を出て、伊吹が待っている場所へ向かった。
そこにはすでに伊吹が居て、声をかけると振り返って「お疲れ様です」と言ってくれた。


「で??何か相談でもあったか??」


「違います違います」


俺の問いに手をブンブン左右に振って否定する伊吹。


「今日……誕生日、ですよね??」


ゆっくりと静かにそう言われて俺は一瞬反応が遅れた。


「誕生日……だけど」


「だから、そのっ……おめでとうございます!」


今日何度も聞いたその言葉。
だけどまさか伊吹から聞けると思ってなかった俺は心底驚いた。


「あまり岡本先輩の好みとかわからなくて、気に入るかわかりませんけど……」


おずおずとした様子で鞄から取り出された青と水色と白のグラデーションカラーの紙袋。


「マジで??めっちゃ嬉しい、ありがとうな!」


その言葉で嬉しそうにしてくれる伊吹。
俺は心底嬉しかった。




家に帰りもらったプレゼントを開けると、瀬那からはパーカーとシャツ。
りょーすけからは眼鏡置きとヘッドホン。
カナからは帽子と折り畳み傘。
ナルからは長財布とストール。
そして伊吹からはヘアピンと黒縁眼鏡。

プレゼントはどれも俺の好みに合っていてどれもすごく嬉しかった。
プレゼントを入れていたものも俺の好きな青系統ですごく嬉しかった。


「みんな本当にありがとうな」


プレゼントと0時ちょうどに送られたおめでとうの言葉。
それらを見て口元が綻ぶのを感じながらそう呟いた。


「にーちゃん!!」


「はーい!今行くから!」


下から俺を呼ぶ太陽の声に返事をし、俺は部屋を出た。
下へ降りるとすでに机の上に並べられたパーティー用品。


あぁ、今日はなんて……。


「最高の日だろうな」