それからしばらくして図書室で本を借りていたぼくに話しかけてきた。


「ねぇ、松岡の幼なじみの荒川だよね」


「えっ、あっ…うん」


「荒川の家ってさ、あの荒川組だよね」


淡々と聞かれてぼくはただ頷くことしか出来なかった。


「あの和風な家だよね」


ん??どうして家の風貌??


「縁側あるの??」


「ある……けど」


「俺長坂奏、好きなように呼んで。荒川涼桔だよね??リョーって呼んでいい??」


「うん、じゃあカナデって呼ぶね」


ナルとは合わないみたいだけど、いい人だと思った。
まさか縁側だけで友達になるとは思わなかったけど。



こうしてぼくの周りには3人の友達が出来た。
月日も流れ、気付いたらぼく達5人は全員仲良くなっていた。


「今日さりょうの家行っていい??」


「うん、いいよ」


ナルに聞かれてすぐにそう答えた。
ナルは昔からよく来てるから。
だけど家に来た人を見てぼくは驚いた。


「レイ、セナ、カナデ」


3人はナルに付いて来たと言った。

今まで大丈夫だったけど、家に入って友達辞めるとかなったならどうしよう……。
それだけで頭の中はいっぱいだった。


「(3人が離れて行ったらどうしよう……)」


「りょう、心配いらないよ」


小声でそう呟かれたナルの言葉。
その言葉の意味をぼくはすぐに知ることになった。


「坊ちゃん、そちらは??」


倉橋さんが歩いて来てそう言った。
倉橋さんは無表情だから恐く見えていたらどうしよう……。


「リョウキチの友達の後藤瀬那です!」


「同じく岡本玲斗です!」


「長坂奏です」


「!!」


3人は笑って挨拶をしてくれた。


「ね??言ったでしょ??」


「うん!」


ナルの言う通りだ。


3人はこの後もずっとぼくと仲良くしてくれていた。
それが本当に嬉しかった。


それからまた季節は巡りぼく達は3年生になった。
ぼくのことを恐がっていたクラスメートはみんなのおかげで少しずつぼくに近付いて来てくれるようになった。
そして楽しい学校生活へとなった。



「回し蹴りってどうやんだ??こうか??」


「レイ!ボクに向かってするな!!」


休みの日、ぼくの家にやって来た4人。
レイとセナはさっきから何をやっているんだろう??


「あれさ、不良の映画見てケンカのシーンを再現したいんだって」


不思議そうにしていたぼくに教えてくれたカナデ。


「単純だよね~」


笑いながら2人を見るナル。


「ねぇねぇ、もっと腰落とした方がいいよレイ」


「こうか??」


「ぐっ!!……思いっきりスネやった……」


今度は成功して喜ぶレイ。