「キレイだなー……」
今日はどこの部活も総体。
だから授業が早く終わる。
ヒマなボクは美術室へと足を運んだ。
すると、美術室前に置かれていた描き掛けの水墨画を見つけた。
「誰が書いたんだろ??」
「私だが」
「!!?」
誰に言ったでもないボクの独り言にまさかの返答をいただき、おもいっきり肩を上げて驚いてしまった。
「あっ…臥龍先輩っ」
後ろを振り向くと、そこには美術部部長であるキリッとした女の先輩が立っていた。
「後藤、その絵どう思う」
「えっ??だからキレイだなって……」
「お前は浅い。もっと深く述べろ」
「えーー……」
突然の無茶ぶりに冷や汗ダラダラのボク。
この人は、何て言うか、ものすごく威圧感があって、変なこと言うと視線だけで殺されそうで恐い。
「お前の思ったままを口に出せ」
「!!」
この人はどうやらボクを試しているわけではないようだ。
ただ純粋に、自分の描いたものへの感想が欲しいだけらしい。
「……次世代に向けてエールを送っているように見えます」
「そうか」
「でも……」
「??」
「まだ終わりたくないと自分を憂いているようにも見えます」
そうボクが言うと、何かを考える素振りを見せ、美術室の鍵を開けた。
そしてボクに「入れ」と視線を流した。
ボクはゆっくり臥龍先輩の後に続いて中へ入った。
「勝てば上へ進み部へ残れるし、負ければそこで夢は絶たれ部も去らなければならない」
突然そう言った先輩に、頭の上にハテナマークいっぱいのボク。
「総体のことだ」
呆れたようにそう言われ、ボクはなるほどと頷いた。
「ここからサッカー部が練習しているのが見えるんだ。この日のために、総体のために励んでいる姿が……それを見て描いたんだ」
絵の中には決してボールやユニフォームが描かれているわけじゃない。
だからモデルにしたのがサッカー部だとは全く気付かなかった。
「この作品は秋のコンクールに出すつもりのものだ。秋が引退の美術部は、これが私にとって最後の作品になる」
普段から表情があまり変わらない人だ。
でも今は、少し寂しそうな顔で絵をそっと撫でている。
「次期部長と副部長はそれぞれ、山田と林道(りんどう)に任せるつもりだ。2人共優秀でいい後輩だ」
「その絵、臥龍先輩の心も映しているんですね」
ボクがそう言うと、いつもより少し目を開いてボクの方をジッと見て、次の言葉を待っている。
「その絵がコンクールで上へ行けば行くほどここに居られる時間が延びる。でも、落ちればそこで、ここにはいられなくなる。後輩へ頑張れってエールを贈る反面、まだここにいたいと思っている」
「ふむ……興味深い感想だ」
薄く笑うその顔は、ボクの言ったことは正解だったとわかる顔だ。
「私は、砺波は上へ行くと思う。きっと私が上り詰めることが出来ない場所へも……。だが砺波は時に脆い」
突然のトナミちゃんについての話。
「後藤、私がここを離れた後、私に変わりあの子を支えやってくれ」
「トナミちゃんはボクなんかに支えられなくても大丈夫ですよ」
ボクがそう言うと、ニヤッと笑った先輩。
「あの子は支えてやると支え返してくれるぞ」
その意味が全くわからないボクと対照的に満足げに水墨画の続きを描きだした先輩。
外はよく晴れて、総体日和だ。
今日はどこの部活も総体。
だから授業が早く終わる。
ヒマなボクは美術室へと足を運んだ。
すると、美術室前に置かれていた描き掛けの水墨画を見つけた。
「誰が書いたんだろ??」
「私だが」
「!!?」
誰に言ったでもないボクの独り言にまさかの返答をいただき、おもいっきり肩を上げて驚いてしまった。
「あっ…臥龍先輩っ」
後ろを振り向くと、そこには美術部部長であるキリッとした女の先輩が立っていた。
「後藤、その絵どう思う」
「えっ??だからキレイだなって……」
「お前は浅い。もっと深く述べろ」
「えーー……」
突然の無茶ぶりに冷や汗ダラダラのボク。
この人は、何て言うか、ものすごく威圧感があって、変なこと言うと視線だけで殺されそうで恐い。
「お前の思ったままを口に出せ」
「!!」
この人はどうやらボクを試しているわけではないようだ。
ただ純粋に、自分の描いたものへの感想が欲しいだけらしい。
「……次世代に向けてエールを送っているように見えます」
「そうか」
「でも……」
「??」
「まだ終わりたくないと自分を憂いているようにも見えます」
そうボクが言うと、何かを考える素振りを見せ、美術室の鍵を開けた。
そしてボクに「入れ」と視線を流した。
ボクはゆっくり臥龍先輩の後に続いて中へ入った。
「勝てば上へ進み部へ残れるし、負ければそこで夢は絶たれ部も去らなければならない」
突然そう言った先輩に、頭の上にハテナマークいっぱいのボク。
「総体のことだ」
呆れたようにそう言われ、ボクはなるほどと頷いた。
「ここからサッカー部が練習しているのが見えるんだ。この日のために、総体のために励んでいる姿が……それを見て描いたんだ」
絵の中には決してボールやユニフォームが描かれているわけじゃない。
だからモデルにしたのがサッカー部だとは全く気付かなかった。
「この作品は秋のコンクールに出すつもりのものだ。秋が引退の美術部は、これが私にとって最後の作品になる」
普段から表情があまり変わらない人だ。
でも今は、少し寂しそうな顔で絵をそっと撫でている。
「次期部長と副部長はそれぞれ、山田と林道(りんどう)に任せるつもりだ。2人共優秀でいい後輩だ」
「その絵、臥龍先輩の心も映しているんですね」
ボクがそう言うと、いつもより少し目を開いてボクの方をジッと見て、次の言葉を待っている。
「その絵がコンクールで上へ行けば行くほどここに居られる時間が延びる。でも、落ちればそこで、ここにはいられなくなる。後輩へ頑張れってエールを贈る反面、まだここにいたいと思っている」
「ふむ……興味深い感想だ」
薄く笑うその顔は、ボクの言ったことは正解だったとわかる顔だ。
「私は、砺波は上へ行くと思う。きっと私が上り詰めることが出来ない場所へも……。だが砺波は時に脆い」
突然のトナミちゃんについての話。
「後藤、私がここを離れた後、私に変わりあの子を支えやってくれ」
「トナミちゃんはボクなんかに支えられなくても大丈夫ですよ」
ボクがそう言うと、ニヤッと笑った先輩。
「あの子は支えてやると支え返してくれるぞ」
その意味が全くわからないボクと対照的に満足げに水墨画の続きを描きだした先輩。
外はよく晴れて、総体日和だ。
