昨日試合を終え、無事に1回戦を突破した俺達霧南バスケ部。

今日は玲斗とセツ子と奏ちゃんと俺の4人でりょうの試合を見に来た。


「今日は組手の団体戦だったよな??」


「うん、明日が個人戦だったな」


そう尋ねた玲斗に試合表を見ながら答えたセツ子。


「ほら見て、りょういるよ。あと、キャプテンの桐山(きりやま)先輩もいるよ~」


りょうの話によく出てくる桐山先輩という人を俺達は初めてちゃんと見た。


「やっぱり空手の道着ってカッコいいよね」


正座をして桐山先輩の話を聞いている霧南空手部を見ながらそう言った奏ちゃん。
俺達は試合が始まるまで霧南空手部を眺めていた。

それから少しして試合が開始された。
先鋒と次鋒は負けてしまい、中堅の人がやっと1勝。


「見て、りょう副将だよ!」


勝つか負けるかを決める大切な1戦。
この団体戦で上に行けるかどうかを決める副将戦で副将として出てきたのはりょうだった。


審判の開始の合図で試合が始まった。
相手の副将はりょうよりも身長が高くて、肩幅も比べものにならないくらいガッシリしたやつだ。
どう考えてもこの試合、りょうは不利だ。


「りょーすけ!!」


「リョウキチー!!」


玲斗とセツ子は不安そうに眉を寄せて大声で名前を叫んだ。


「りょう!!頑張れっ!!」


技をかけられそうになったのをなんとか持ち直したりょう。
それを見て俺も大声で応援した。


「すごい!!リョーが攻め出してる!!」


小柄な体型を生かして動き回るりょう。
完全に攻めに入ったりょうを見て奏ちゃんはテンション高くそう言った。

そして……。


「よしっ!!」


りょうの技が決まり、りょうの勝利。


残る大将戦は、桐山先輩により勝利。
つまり、霧南空手部が上に行ける切符を手に入れたということ。


試合が終了し、礼をし終えた両チーム。
りょうはチームの危機を救ったため、チームメイトからおもいっきり抱きつかれて苦笑いしながらも楽しそうだ。





「お疲れ様~、りょうすごかったね~」


libertyの部室へ集まった俺達。
俺がりょうにそう言うと、少し照れたように笑ったりょう。


「ナルとレイもすごかったよ」


りょうは俺達2人を見ながらそう言ってくれた。


「バスケ部も空手部も、1回戦突破おめでと!!」


自分のことのようにすごく嬉しそうな笑顔を向けてくれたセツ子。


「明日からの試合も頑張ってね。応援には行けないけど、でもちゃんと応援してるから」


次からの試合はもっと遠い所で行われるため応援に来ることはできない。
でも、ちゃんと応援をしてくれると言う奏ちゃんに頷いたセツ子。
そんな2人が俺達には心強かった。