5月も終わり、6月初旬。
運動部にとっては1番大きな大会である総体がいよいよ目の前までやってきていた。


「明日いよいよ試合だな!カナデとリョウキチと一緒に応援行くよ!」


「おぉ!頼むな!」


セナとレイは拳を軽くコツンとぶつけてニカッと笑い合っている。


「玲斗応援してるよ」


「奏ちゃ~ん??それは俺に対する嫌がらせかな~??あれ??何だか目の前が霞んで見えないな」


ナルのことは無視でレイだけに頑張れと言ったカナデ。
そんなカナデに泣きそうなナル。


「レイもナルも明日の試合頑張ってね」


「任せとけ!」


ぼくの言葉に笑顔でVサインをくれるレイ。


「りょうは試合明後日だったよね、4人で見に行くからね~」


ナルの言うように、空手部であるぼくも例外ではなく、総体に出場する。


「リョーも明後日頑張ってね」


カナデが肩をポンポン叩きながらそう言うと、3人も笑顔をくれた。


「うん!頑張るね!」


3年生にとって総体は、部活を長引かせることができるのかもかかっている。
だからどの部活の先輩達も本気で勝ちに行っている。
ぼく達はまだ2年生だけど、そんな先輩達の思いも受けて、勝ち進んでいくことしか頭にない。



そしていよいよ総体1日目が訪れた。


「おぉ!あれ霧南じゃね??」


セナとカナデとぼくはバスケの応援に来ている。
ナルとレイがどこにいるのかキョロキョロしていると、どうやらセナが見つけたようで、ぼく達もそっちへ目を向けると、確かにアップを取り終えた霧南バスケ部がいた。


「あれがキャプテンの日向(ひゅうが)さんか。確かにキリッとしていてキャプテンっぽいね」


部員に何か指示を出している人を見ながらそう言ったカナデ。
日向さんはナルとレイの話によく出てくるから、ぼく達は無関係だけど、存在は知っていた。


「あっ、そろそろ試合始まるんじゃない??」


そうぼくが言った瞬間、試合開始のホイッスルが鳴り響いた。


「レーーイ!!ファイト!!」


「ナルーー!!頑張れ!!」


セナが大声でそう言ったのにつられてぼくも大声で応援した。


「すごいよ!もうあんなに点数差がある!」


いつもより興奮気味のカナデは霧南の得点に嬉しそうにそう言った。

ナルとレイは2年生であるにも関わらず、レギュラー。
しかも得点のほとんどはこの2人によるもの。


「ナル!!」


相手チームのディフェンスを全て1人で抜いて、勢いよくナルにパスを回したレイ。


「任せて!」


ナルはその身長を生かしてスリーポイントを綺麗に決めた。


バッシュの音とボールのバウンドする音。
ゴールのネットにボールが通る音。
そして最後に鳴り響いのは試合終了のホイッスル。


「っしゃ!!」


「やったね!!」


ハイタッチをするレイとナル。
霧南バスケ部は勝利した