「こんにちは!」


よく知っているその声に振り向くと、袖口にレースの付いた白のシャツと黒のサロペットを着て、リボンの付いたスニーカーを履き、長い髪はシュシュを使って上で1つにまとめられており、いわゆるおだんごというものになっている。そんな服装の子がやって来た。


「よっ!」


片手を挙げてそう言うと、笑顔を向けてくれた。

俺は今日、たまにいろんなイベントが開催される広場に伊吹と待ち合わせをした。
たった4日間だったのになんか久しぶりの気がする。
そう思いながら、俺は伊吹を白いテーブルとイスが置かれている場所へ連れて行った。


「ほら、これ土産な」


「ありがとうございます!」


袋ごと渡すと嬉しそうに受け取った。でも、すぐに中身を見て驚いた顔を向けてきた。


「遠慮とか今更無しな??それ伊吹のやつだから」


「すみません……ありがとうございます」


俺が思っていることを当てたのに驚いたのか目を大きく見開いた後今度は安心したような笑顔になった。


「その中に入ってる青の袋のやつ開けてみ??」


「これですか??……うわぁ!綺麗!」


伊吹に開けさせた袋の中には硝子で作られたかんざしが入っている。


「気に入ったか??あんまり女物とかわかんなかったんだけどな、それ何か伊吹っぽかったから」


「すっごく気に入りました!本当にありがとうございます!」


早速かんざしを着けてくれて、俺もつい笑顔でそれを見ていた。


「先輩、あたしもこれお土産です」


嬉しそうにしていた伊吹が突然何かを思い出したかのように鞄の中をゴソゴソとし始めたと思ったら、1つの紙袋を取り出し、それを俺の目の前まで持ってきた。
それを受け取って中の物を取り出すと、鳥のストラップが出てきた。


「めっちゃいいじゃん!サンキューな!」


ケータイに付けて見せると、ホッと安心したような笑顔を向けてきた。


「あっそうだ!あの、岡本先輩」


「どした??」


「あの軍服姿とってもよかったです!」


ん??……。
何で伊吹が俺達がコスプレしたって知ってるんだ??


「伊吹、その情報はどっからだ??」


「送ってくれたのは蛍ですけど、もともとは松岡先輩が蛍に私達に送るように言ったそうです」


「なーるほどなー」


写真と動画を俺に見せてくれながらそう言った伊吹。
まあ、やっぱりそういうのやるのナルだと思ったけどな。


「先輩軍服よくお似合いでかっこよかったです!」


ジッと目を見て言ってくるもんだから、つい目を少し逸らしてしまった。
だってなんかいつもの俺じゃないみたいなんだ。