「えっ!?これってコスプレのときのやつ!」


「松岡先輩に私達へ送ってほしいって頼まれたようで、蛍が送ってくれたんですけど……先輩ご存知なかったんですね」


「初めて知った。ナルやってくれたねぇ」


笑ったぼくにホッと息をついた小早川さん。
多分、ぼくが知らないなんて知らなかったから、勝手に見てしまったと思って申し訳なく思っていたんだろう。
ちょっと照れくさいけど、ぼくは大切な思い出だから見られたくないとは思わないんだけどね。


「先輩は新撰組なんですね」


「そうだよ。ぼくも新撰組好きだから嬉しかった」


ぼくが笑うと同じようにはにかんでくれた。


「私も新撰組好きです。先輩すごくかっこいいですね」


「えっ??……アハハッ、小早川さんにそう言われるとなんだか照れるね」


ぼくの写真を見つめながらそう言うものだから、嬉しいけど何だか照れる。
でも、とっても胸の奥が暖かい……。
この暖かさはいったい何なんだろう??
今まで感じたことのない暖かさ……。


「……出版社に行ったとき」


「えっ??」


「……出版社に行ったときにね、小早川さんも一緒だったらなぁ……って思った」


「先輩??……」


「!!……ごっ、ごめんね!気にしないで!!」


「あっ、はい!」


何してるんだろうぼく……。
小早川さん困らせちゃったなぁ……。


「(それにしても……)」


どうしてあの時そんなこと思ったんだろう??
確かに小早川さんが一緒だったらなぁと思った。
だけど、そう思った理由が自分自身わからない……。


「こんなんだからlibertyのみんなに天然だって言われるのかなぁ??」


「何の話ですか??」


「あっ、いやいや!気にしないで??それよりさ、動物園の話を聞かせて??」


ぼくがそういうと不思議そうにしながらも頷いて遠足で行った動物園の話をしてくれた。


「(こうしていると、浅草寺で引いたおみくじのことを忘れていられそうだなぁ)」


《吉:長かった不運の時期も乗り越え、自然といろいろなことがいい方に進んでいきます。久しぶりの心の安定を感じられるでしょう。

恋愛:自分の魅力に自信を持つべし

待ち人:嬉しい知らせあり

願い:心底望なら叶う》


「久しぶりの心の安定……か」


「先輩大丈夫ですか??何だかボーッとしているような……」


「!!……大丈夫だよ??だから続けて??小早川さんの話聞かせてよ」


そうだよ、今は小早川さんの話を聞くとき。
おみくじの内容なんてどうでもいいじゃないか。


そう思うことで、おみくじのことは思い出さないようにし、期待なんかでぼく自信が傷付くのを避けた。