「お久しぶりです」


その声に振り向くと、セーラーのような服にボーイフレンドデニムとオックスフォードシューズを履き、いつもおろされているフワフワな髪を2つに三つ編みにしてリボンを付けた可愛らしい服装のトナミちゃんがいた。


「久しぶり!」


ボク達はワゴンで売っているクレープを買って近くのベンチに腰掛けた。


「この袋のやつトナミちゃんにね」


「わぁ!こんなにたくさんありがとうございます!」


すごく嬉しそうに袋の中の物を出して見るトナミちゃん。


「あっ!これ!」


「気付いた?」


東京でふと見つけた画材道具屋。
そこに売っていた筆とパレットは、ずっと前にボクが美術室へ行ったときに、トナミちゃんが見ていた雑誌に載っていて、欲しいと言っていた物。


「すっごく嬉しいです!ありがとうございます!」


筆とパレットをギュッと抱き、目を細めてすごく嬉しそうにしてくれた。
それを見てボクの方まで嬉しくなった。


「あっ、先輩!これ!」


手渡されたのは小さな紙袋で、中を覗いてみるとライオンのストラップがあった。
どうやら、動物園のお土産みたいだ。


「ありがとう!」


「いいえ!それより後藤先輩、お土産話聞かせてください」


目を輝かせてそう言われ、ボクは4日間あったことをトナミちゃんに話した。


「一番強烈に記憶に残ってるのはコスプレしたときかな?」


ハハッと笑いながら言うと、携帯を開けだしたトナミちゃんは笑顔でボクにコスプレしたときの写真と動画を見せてきた。


「えっ、何でトナミちゃん持ってるの!?」


驚きを隠せないボクに不思議そうに小首を傾げたトナミちゃん。


「松岡先輩がワタシ達に送るよう蛍に言ったらしくて、それで送られてきました」


「やっぱりナルさんか」


トナミちゃんの話を聞いて苦笑いをするボク。
っていうか、ワタシ達ってことは、他の女の子達も送られているのか。


「先輩のキラキラした髪にこのアメリカポリスの服装がよく似合ってます」


「ありがとう、でも改めて見るとなんか恥ずかしいな」


頬を人差し指でポリポリかくボク。


「何でですか??カッコいいんだから恥ずかしがる必要ないですよ??」


「!!?」


なんて子だ。
ただただ純粋にそう言われた言葉。
照れてるのはボクだけかよ。


「演技もとっても上手くてかっこよかったです」


「……」


「それから……」


「トナミちゃん!その話はもう止めよ??」


自分だけ照れているのに耐えられなくなってそう言うと、不思議そうにしながら了解の返事をもらい、ボクは修学旅行での話の続きをした。