撮ってもらった写真をカメラで見てみると、筋肉をアピールしつつ提灯を持ち上げる瀬那と玲斗。
左には無駄にウザイキラキラポーズをしているナル。
前には優しい笑顔でピースをし、屈んでいるリョー。
そして右には体を斜めにして右手はポケット、左手はピースをしている俺。

この1枚だけでも何だか楽しい気分になれるから不思議だ。




「うわぁ!大きいね。やっぱり634mなだけあるよね」


浅草寺を抜けた俺達はスカイツリーに向かって歩いていた。
そして、スカイツリーの真下まで来た俺達はリョーの言葉に高い高いスカイツリーの先を見つめた。


「ナル何人分だろうな」


「そういう計算の仕方止めて?まるで俺が巨人みたいじゃん」


しみじみと言った玲斗に軽くツッコミをいれるナル。


「いや、巨人だろ」


ボソッと呟いた瀬那の言葉は隣にいる俺にしか聞こえていないようだ。


「ライトアップされているのが見たかった」


軽くため息に似た息を吐くと笑いながら同調した4人。




一度クラスで集合し、いよいよ展望台へ登る時間になった。
展望台までは約3分ほどのエレベーターで向かう。
上に登っていくにつれて耳が何だかおかしい。そんなことに耐えながら俺達は展望台に着くのを待った。


もうそろそろ3分経っただろうと考えていると、到着したことを知らせる音がエレベーター内に響いた。
そしてその後エレベーターの両扉は開かれた。


「!!」


そこにはガラスの向こうに広がる大きな青があった。


「すごいね~!めっちゃ綺麗じゃん!」


「東京の景色が一望出来るな!」


ガラスの方へ早足で駆けて行ったナルを後ろから追いかけるように駆けて行った瀬那。


「さっきまでぼく達がいた浅草が見えるよ!」


「本当だ!あの辺は俺達が歩いてきた道だな」


キャッキャッという風に喜ぶリョーと玲斗。


「あそこ床がガラス張りだよ」


360°をゆっくり歩いて行きながら展望台を楽しんでいると目の前にガラス張りの床を見つけた。
俺の指差した方へ全員で歩いて行き、上に乗ってみた。


「床抜けそうだね~……」


「うん、そうだね。ねぇナル……わっ!!」


「ちょっと!そういうの無しだよ!」


若干ビビっているナルの背中を軽く押すと、焦りながら怒ってきた。
それにケラケラ笑うと玲斗もその場でジャンプをしたり、瀬那もガラスを叩いたり、リョーも「本当に割れそうだね」なんて笑顔で言い、全員でナルをイジメた。
そんな俺達に半泣きで「みんな酷くない!?」と叫んだナル。