「みんな、そろそろ起きる時間だよ」


夢と現実の境目でうっすら聞こえるリョーの声。
その声にだんだんと頭が覚醒してきて俺達は目を開けた。


「やっぱり4日目までくると疲れがくるな」


めくれあがったTシャツから覗く腹筋をかきながら眠そうに言った玲斗。


「あー…足いったー……」


長い髪の毛をかきあげた瀬那は足をフラフラと動かした。


「今日は浅草寺とスカイツリーだったよね」


伸びをしながら今日の予定を言ったナル。


「ホテル出る用意もしなきゃね……さて、そろそろ起きようか」


少し疲れが出ている体を起こし、修学旅行最終日である4日目が始まった。




「ここでクラスの記念写真撮りまーす」


4日目はまず浅草寺からだ。


「ナル隣に並ばないで」


「奏ちゃん俺に対して冷たくない??」


「俺の横にも並ぶな」


「えっちょっ、玲斗まで!?」


「ぼくの隣もやめてね」


「りょう……いい加減泣きそうなんだけど……」


好きなように並んでいいと言われ、俺達5人も固まって並ぶことにしたんだけど、瀬那以外はナルに隣に並ぶなとあしらう。


「ナルさん落ち込むなって。ナルさんバカデカいから170組は隣に並ばれるのが……って痛いっ!!おい!カナデ足踏むな!!レイ背中叩くな!!リョウキチはその目やめて!!」


ニヤニヤ笑うでもなく、純粋に思った通りのことを言ったというような爽やかな笑顔でナルを慰めた瀬那。
でも、逆にそんな瀬那に腹が立ち俺達3人は各々瀬那にダメージを与えた。
言うならば『瀬那10000のダメージにより戦闘不能』状態。


結果、一番後ろの列にナルと瀬那が並び、その前にリョー、俺、玲斗の順で並んだ。

カシャッというカメラをきる音が3回行われ、クラスの記念写真は終了した。


「ここからスカイツリーまで3時間以内に行ったらいいんだよな」


先生の解散の合図で散らばりだした生徒達。
予定を確認した玲斗は俺達の方へ体を向けた。


「とりあえず浅草寺の散策したいね」


「だよね~!浅草寺はなんか江戸!って感じがする」


両手を胸の前でギュッと握り、拳を作ってワクワクとしたように軽く前後に振るリョー。
リョーの言葉を聞いてポケットに入れていた手を出してリョーと同じポーズをしながら同調したナル。


「とりあえずあれだ、参拝してから通り見学しよう」


「そうだね、お清めの水とかもあるし、おみくじとかもあるしね」


リョーとナルを軽く宥めてからそう言った瀬那に俺も頷きお清めの水の方へ歩いていった。