「何やってんだろ俺……」


少し離れた場所でお土産にするものを見ていると、冷静になった俺は挑発に乗せられてしまったことにため息をついた。

普段はあんな挑発軽く流すのにね……。


「(なぜかあの瞬間、あの子の顔が浮かんだんだよね……)」


いつも俺に手作りのお菓子をくれるあの子の顔が……。


「ボクだってね姉がいるんだから女の子の好みくらいわかるって!」


「俺をバカにすんなよ!?服みたいにコーディネートじゃねーんだから完璧に選べるっつーの!」


「ぼくだって本以外のものあげることくらいできるよ!」


大きな3つの声が聞こえて振り向くと、どうやら瀬那と玲斗とリョーも挑発にまんまと引っかかったみたいだ。


「それじゃあ俺も探そうっと!みんな頑張ってね~」


ヒラヒラ手を振りながら言ったナルは満足そうに笑っている。


「まあでも、ナルの言うことに一理あるのかもしれないね」


お土産を探しにかかる4人を見てそう呟いた俺は再度お土産を見た。




外が薄暗くなってきた。
俺達はお土産を買い終わり、パレードを見に行くことにした。


「おおっ!ミッキーだ!」


「ミニーもいるじゃん!」


「綺麗だねぇ!」


「すっごいね~!」


「うん…本当にね」


今日流れていた音の中で一番楽しそうな音が流れながらキラキラの電飾を使ったパレードは俺達を惹き付けた。
口角が気付いたら上がっている。
夢の国というだけのことはやっぱりあったんだね。
写真じゃきっと伝わらないこの輝きを俺達は目に焼き付けた。




パレードも終了してそろそろホテルに帰る時間だ。
最後にライトアップされたシンデレラ城を見に行くことになり、俺達はシンデレラ城へ向かった。


ライトアップされたシンデレラ城は昼間とは違った綺麗さがあった。
それにテンションが上がっていると、花火が打ち上げられた。
なんてすごいんだろう、夢の国。


「一生幸せにします!だから結婚してください!」


「はいっ!……」


突然のプロポーズに呆気にとられる周囲の人。
だけどすぐにそこは感動の渦となり、みんな拍手で祝った。


「ロマンチックだね~」


「生でこういうの見れると思わなかったな」


口笛を吹いたナルに続くように指笛を吹く玲斗。


「感動だね!」


「だよなっ!」


何だか泣きそうなリョーと、そんなリョーの背中を軽くさすってやる瀬那。


「きっとあの2人は幸せになれるね」


俺も拍手をして2人を見つめた。


3日目の修学旅行は、夢の国で感動と共に終わった。