「はい、いくよ、ジャンケンポン」


急にそう言った俺にわたわたしながらも反応した4人。


「あっ、ナル1人だ」


意味不明という顔をする4人。
それにニヤリと笑いある場所へ引っ張って行く。


「奏ちゃん?……いったん落ち着こうか?……」


「そういや全然こういうの乗ってなかったな!」


「どうりでナルさん1人って決まったときニヤニヤしてたわけだよ」


「ナルこんな時に限ってジャンケン弱いよね」


着いた場所は絶叫系、ジェットコースターだ。
ナルは絶叫系が大の苦手。


「さあ……入ろうか?」


「(なんて楽しそうな笑み……)」


俺の言葉に4人が口元を引きつらせながらそんなことを思っているなんて気にもせず、嫌がるナルの背中を押していった。


「それじゃあ行ってらっしゃーい!」


係員のその声と共に発車したジェットコースター。


「うわぁぁぁーーーー!!!」


ナルの声がやたら響く。


「楽しかったね」


ゴールに着きジェットコースターから降りて後ろを振り返った。


「何してるの?」


一番前で1人で乗っていたナルは撃沈している。
俺の横に乗っていた瀬那は仏のような顔をしている。
瀬那の後ろに乗っていた玲斗は両手で顔を抑えて小刻みに震えている。
俺の後ろに乗っていたリョーは少しグッタリしたように深く腰掛けている。


「これ、怖いね」


苦笑いをしながらやっと降りてきたのはリョー。


「瀬那の髪がっ!!強風で顔面直撃したっ!!」


玲斗が顔を抑えていたのはそういうことか。


「ボクね、思うんです。人間いつかは死ぬのを覚悟するべきだと」


何か瀬那悟り開いちゃったよ。


「死……ぬ……」


あー、もうナルダメみたい。




あの後休憩のために昼食をとった。
なんかミッキーをモチーフにしたやつとかあってすごい凝ってた。

それから乗ってないやつにもいっぱい乗ってほぼアトラクション制覇したんじゃないかな?
そして俺達はお土産を買うためにお土産を売っている建物の中に入った。


「ね~ね~、これあげたら喜ぶかな~?」


そう言いながらナルが持ってきたのはミニーのミミ付きカチューシャ。


「誰にあげるんだよ」


チラッと見てそう返した玲斗。


「え~?蛍ちゃんに」


その言葉に一斉にナルの方を向いた。


「そういうのお土産にすんの?」


瀬那の言うとおり、お菓子とかをお土産にするものだと思っていた。


「甘いよ。女の子はね、こういう物の方が嬉しいんだよ」


「そうなの?」


ナルの言葉に疑わしそうに尋ねるリョー。


「ナルの言ってることは信用できない」


「奏ちゃん酷っ!!どうせ女の子の好みとか知らないくせに!!」


………何て言った?


「ナル今カナデの地雷踏んだよね」


「っていうか、ナルさんがカナデを挑発したんじゃない?」


「カナは女子の話しねーからな」


リョーと瀬那と玲斗がコソコソそんなことを言っているのも今はどうでもよくて、俺はただナルに笑顔を向けた。


「言ってくれるね、まるで人をホモかのように。言っとくけど俺だってそれくらいわかるよ!俺も選んで来るから!」