「俺はホストで不特定多数の女の子達に癒やしを与える仕事をしている。だけど……こんな風に、ただ1人の女の子を好きになるなんて、ホスト失格……かな?……」


悲しそうに笑うナル。
やたら演技上手い。

ちなみに俺達は携帯でムービー撮りながら見てたから、ピロリーンなんていう音でナルの演技台無しだ。
だけど、満足そうなナルに拍手をした俺達。
ナルと入れ替わるように今度はリョーがナルのいた位置に行った。


「ぼくはこの国のために戦う。それがぼくの誇りで信念だ……そう思ってたのに……君に出会い、それが怖くなってしまうなんてね……思いもしなかった……」


目を伏せて物悲しくそう言ったリョー。
リョーも演技上手いな。

リョーにも拍手をして、今度は玲斗がリョーと入れ替わった。


「きっと戻って来る。だから行く前に約束を……いや、ワガママを聞いてくれないか?……俺の帰りを待っていてほしいんだ……他の誰でも無く、お前だけに」


ライフルを片手に軍服を翻すように去っていく玲斗。
演技上手かったけど、どこまで行ってるの玲斗。

拍手をし終え、今度はいよいよ俺の番。
頑張るけど、こういうの向いてない気がする……。


「大丈夫、俺が君を治してあげる。だから、そんなに疑いの目をしなくてもいいでしょ?……ねぇ……俺が好きだと言っても、君はそんな風にウソだと思っちゃうの?……」


俯き加減で苦笑いをしてセリフを言うと、4人は「おおー!!」なんていいながら拍手をしてくれた。

そしてラストは瀬那。
俺は瀬那の座っていた場所へ腰を下ろした。


「ボクがこの街も、君のことも守る。なあ、そんなに心配しなくていい。遠慮もしなくていい……守らせてよ……ボクの大切な人くらい……ボクのこの手で……」


手を前に伸ばしながら切なそうに呟いた瀬那。
上手い瀬那の演技に拍手をした。




そして俺達は自主研修を楽しみ、ホテルに帰還し、夕食とお風呂を済ませた。


「楽しかったね」


「そうだね、なんかすごく濃い1日だったね」


笑いながら言ったリョーに、布団を整えながら返事をした俺。


「まだまだ夜は終わってねーよ!」


背中に軽く当てられた物を見るとそれは枕だった。
振り向くと、玲斗がニッと笑いながら枕を叩いていた。


「枕投げだな!よっしゃ、行くぞー!」


リョーへ枕を投げた瀬那。
それに反応したリョーも嬉しそうに枕投げに参戦した。
あっ、リョーが投げた枕に当たった瀬那死んだ。


「ナル!携帯弄ってないでお前も参加だ!」


「え~?ちょい待ってよ~!」


玲斗により頭に枕をぶつけられたナルは、弄っていた携帯を避難させ、枕投げに参加した。


「リョウキチ!倍返し!」


「アハハッ!セナ、全然届いてないよ!」


「奏ちゃん!玲斗!」


「いって!!よくもやったなナル!」


「玲斗、俺と組もうよ」


ギャーギャー騒ぎながら枕投げをする俺達。
疲れているはずなのに、この体力はどこから来るんだろうか??


最後の最後まですごく濃い1日となった修学旅行2日目も終了した。