「おっはよ~!奏ちゃ~ん」


「………朝から変態見てしまった」


目を覚ますと目の前には超いい笑顔のナルがいて、朝からやたらハイテンションなことにムカついてそう言うと嘘泣きし出した。


「んーー?……おはよ、ナルさん元気だね」


「ナルうっせーー……」


「ナル……早起きだね……」


俺達の声に目を覚ました瀬那は苦笑いでそう言った。
そしてその後すぐに目を覚ました玲斗とリョーは焦点の合っていない虚ろな目でナルの方を向いた。


「みんなもっとテンション上げて行かなくちゃ!今日は自主研修のある修学旅行2日目だよ~!」


こうして俺達の朝はナルのウザイ笑顔と共に迎えた。




「さて、そろそろ出ようか?」


朝食も食べ終り、俺達の2日目の修学旅行が始まった。




「すごいすごいすごい!!!」


「リョウキチ目キラッキラじゃん」


「そりゃそーだろ、りょーすけめっちゃ楽しみにしてたからな」


本の出版社へ見学に来るや否やテンションMAXで、いつもの優しい笑みではなく子供っぽい純粋な笑みを浮かべるリョー。
俺と同じことを思ったらしい瀬那と玲斗はリョーの後ろでヒソヒソと話していた。


「ホ~ント、りょうは本好きだよね~」


ヘラヘラ笑いながら社内に飾ってある展示物を見るナル。


「うん、大好き!みんなぼくに付き合ってくれてありがとうね!」


「この後俺達にも付き合ってもらうんだからそんなこと気にしないでいいよ」


リョーにそう返すと一瞬目を大きく見開き、すぐにまた子供っぽい純粋な笑みを返してき、また展示物を見始めたリョー。


「………だったらなぁ………」


展示物を見ながら少し残念そうな顔で何かを呟いたリョー。
何を言ったのか聞こえなかったけど、問い詰めることではないと思い、俺は展示物へ視線を戻した。




「そろそろ次行くか?」


玲斗のその声で俺達は出版社から出ることにした。




「メイドさ~ん!」


「ゲーム!!」


次に俺達が訪れたのは秋葉原。
着いた瞬間周りの人の目も気にせず叫んだナルと玲斗。


「俺ゲームセンターの方に行くね」


「ぼくもそっちに行くよ」


「いや、ボクもそっち行く」


「じゃあな、ナル」


玲斗を先頭にゲームセンターへ向かおうとする俺達。


「ちょっと!ゲームセンターの後メイド喫茶行くからね!!」


そう後ろで叫びながら走って追いかけてきたナル。

えっ、結局俺達も行く羽目になるの?……。




「あの子すごくない?」


「修学旅行生かなぁ?どこから来た子だろ?」


「早いっ!!しかもミス無し!!」


玲斗はゲームセンターに入ると、得意の音ゲーに突っ走って行き、早速ゲームを開始した。
すると、玲斗のその姿を見て、周りにたくさん人が集まって来た。