「入学式の次の日にさっそく服装検査とか、登 校指導とかしなくていいのに……」

俺は今日も電車に揺られながら学校へ向かって いる。 毎朝俺の登校は電車に乗り、揺られること15分 。そこから学校まで10分歩いて学校に到着だ。

〈次は朝霧稜南、朝霧稜南です。お出口は右側 になっております〉

車内アナウンスが聞こえ、俺は扉の方へ移動し た。

プシューーッという停止音と共に扉は開き、俺 はホームへ降りる。 欠伸が出そうになるのを我慢しながら定期で改 札を出て、ノロノロ歩き出した。

「(そういえば、今日から部活勧誘か……まあlibe rtyは俺達だけでいいから新入部員とか関係ない けど)」

なんて考えていると、後ろからヤバいやつ達が 来た。

「イーーッヤッハーーー!!!!!アハハハハハハッ!!!! !」

「死ぬっ!!レイッ!!ボク死ぬわボケーッ!!!」

後ろからありえないスピードで来るバイクに乗 っていたのは、玲斗と瀬那だった。 玲斗が運転し、瀬那が後ろにに乗って、2人乗り をしている。 たまに、昨日のように玲斗が機嫌最悪な日は瀬 那は置いていかれているが、大抵2人はこうして 登校しているか、自転車で瀬那が運転し、荷台 に玲斗が乗って登校するかのどれかだ。

「カーーーナーーーッ!!おはよーー!!」

「カナデッ!!おはっ!助けっ!!」

「おはよ、いってらっしゃい」

爆笑しながら叫んで挨拶をしてきた玲斗と、死 にそうな瀬那へ呆れたように笑い、手を振って やると、玲斗はもっとスピードを上げ、瀬那は 俺に言葉になっていない暴言を叫びながら坂を 下って行った。

「アイツ達……今日検査日なのに2人乗りしてて 大丈夫なのか??……」

「奏ちゃん、おっはー!」

後ろから声が聞こえ振り返ると、ナルがウザい 仕草をして挨拶してきた。

「………」

「ちょいちょい!無視して行かないっ!」

「あぁ、居たのか。デカすぎて見えなかった」

「えっ!?それどういう現象!?小さすぎてならわか るけど、デカすぎてって何!?」

長い足でいつの間にか俺の隣へ並んだナルは頭 上でずっと騒いでいる。

「もうわかったわかった。ナル、お前イヤーカ フ取っといたほうがいいよ」

ナルの耳を指差しながら言うと「そういや今日 検査日か!」と言った。 覚えとけよ、そのくらい……。

「ん??あっ、りょう!」

外したイヤーカフをポケットへしまったナルは 数メートル前を歩いているリョーを見つけて名 前を呼んだ。

その声に振り返ったリョーは片手を大きく振っ て挨拶してきた。

「おはようナル、カナデ」

「おっはよりょう」

「おはよ。リョー、バングル着けっぱなし」

「あっホントだ!ありがとうカナデ、忘れてたよ 」

何でこいつ達はこんなに抜けているんだろう。