「ボクはね、原宿かな!服買いたい」


りょーすけによって立ち直った瀬那は観光雑誌を広げてそう言った。


「いいね、俺も買いたい」


瀬那の言葉に便乗し一緒に雑誌を見出したナル。


「まあ、原宿いいんじゃね??りょーすけはどこ行きたい??」


「ぼく??そうだな……本の出版社かな」


「やっぱりりょーすけはどこ行っても本か」


そう言うと、フフっと笑って頷いた。


「じゃあ、カナは??」


瀬那の持って来ていた雑誌のうちの1つを手にとって見ていたカナへ話を振るとパラパラと雑誌をめくりある1ページを開けた。


「ここ行きたい」


「和のカフェか!」


そこには和テイストの店の写真があり、俺がそう言うとカナは頷いた。


「抹茶だよ、抹茶。こんなにもたくさんの抹茶の商品がある店ってなかなか無いよ。これとか最高だよね、抹茶で作ったタルトとか、ケーキとか。クリームはいらないけど、まあそれは除けてもらえばいいだけだし。あと、この外観も内装もいいよね、春夏秋冬で部屋割ってるんだってさ。とくに秋の部屋の紅葉が……」


「カナデどんだけ和風なもの好きなの」


「奏ちゃんがめっちゃ饒舌だ」


普段こんなにまくし立てて喋らないカナだけど、和を愛してるからこんなときはやたら喋る。しかもめっちゃ幸せそうに笑いながら。

「それぞれ行きたいとこバラバラだな」


計画表を手に瀬那がそう言った。


「でも、服屋と和のカフェは原宿だね」


雑誌を指差しながら言ったりょーすけ。


「自由行動の前のさ、会社見学的なやつでさ本の出版社行ったらいいんじゃない??」


ナルのアイデアに「おぉ!」と言って計画表に書き出した瀬那。


「ゲーセンとメイドカフェは秋葉原だから、出版社の後回る方がいいんじゃね??」


俺がそう言うと計画表に付け加えた。


「出版社も秋葉原も原宿も山手線で回れるからいいんじゃない??」


交通方法の欄を指差しながら言ったカナになるほどとみんな頷いた。


「よしっ、じゃあこれでいいかな??」


瀬那は書き終えた計画表を「ジャンッ」と言いながら見せてきた。


企業見学:本の出版社
自由行動:秋葉原(ゲーセン&メイドカフェ)
昼ご飯:原宿にて和のカフェ
自由行動:原宿(服屋など)


「セナ、先生に提出するのにゲーセン&メイドカフェはどうかと思うよ」


計画表を見終えて不備を指摘するりょーすけ。


「アッハハハ!!バカじゃん!先生に引かれるか怒られるって!」


爆笑し出したナル。


「俺達にはわかりやすいけど教師相手にこれはまずいだろ!」


俺もナルにつられるように笑うと瀬那は「うっさいうっさい!!」と怒ってきた。


「敢えてそれで提出したら??呼び出し&再提出間違いなしだと思うけどね」


ニヤニヤ笑いながらそう言ったカナと泣きながら秋葉原のかっこの中を消す瀬那。