「もっちもちだ!」


「うっまーー!」


柏餅を口へ運んで嬉しそうに言ったレイとセナ。
そんな2人の言葉に顔を綻ばす吉田さん。


「手作りの柏餅なんて久しぶりだな~」


「まず家で餅をつくことがないよね」


手作りの柏餅に感心したように食べるナルとカナデ。


「ぼくの家では毎年倉橋さんと八田さんが餅つきをして、吉田さんがその餅で柏餅を作るんだよ」


そう言えば4人は倉橋さん達にすごいと褒めていた。
それに対して倉橋さんは僅かに微笑み、八田さんは照れたように笑い、吉田さんは「喜んでくれてよかったです」と言ってニコニコ笑った。


みんなが柏餅を食べ終わり、ぼく達は兜の準備に取りかかった。
まあ、兜は箱から取り出してケースを拭くだけだから早いんだけどね。


そしてみんなの手伝いがあり去年までとは違って早く飾ることができた。
ぼくの家族もみんな嬉しそうに鯉のぼりと兜を眺めていた。


「みんな本当に今日はありがとう!おかげですごく早く終わったよ」


お礼を告げれば4人は笑って「どういたしまして」と言った。


「これ、よかったら持って帰ってよ」


そう言って1人ずつ紙袋を渡した。


「あっ、柏餅じゃんか!いいの??」


紙袋の中に入ってる物を見て驚いた表情をしたセナ。


「しかもめっちゃたくさん入ってる!」


セナ同様紙袋を覗いたレイが嬉しそうに言った。


「手伝ってくれたお礼だよ。たくさんあるから遠慮しないで大丈夫だからね」


「こんなにたくさんありがとう!」


ぼくの言葉に笑って紙袋を持ち上げたナル。


「俺達の方こそ今日はいろいろありがとう。楽しかったよ」


ナルの言葉に少し頷いてぼくの方へ体を向けてそう言ったカナデにみんなは再度お礼を言ってくれた。


そしてみんなに手を振り、「また明日ね」と遠ざかって行く背中に伝えた。


「坊ちゃん楽しそうでしたね!」


家の中へ入ると八田さんが明るい笑顔でそう言った。


「お友達といる坊ちゃんは何だか生き生きしています」


突然だったから何のことを言っているのかわからなかったぼくにlibertyのことだと伝えるようにそう付け足した倉橋さん。


「そんなにわかりやすかった??」


「ええ。だって坊ちゃんを見るとこっちまで笑顔になるほどでしたから」


ぼくの問に目を細めてそう言った吉田さん。

「そっか……。うん、楽しいよ」


そんなにわかりやすかったんだと思いながら、みんなの顔を思い出すと、やっぱり笑顔になってしまう。
わかりやすくてもいいか。
だって本当のことだから。

そんな風に思いながら、子供の日で張り切ってる吉田さん達が作ってくれた晩御飯は何かな?なんて考えた。