桜が散って、少しずつ若葉が芽生え始め、ピンクが薄い緑に変わり、一層暖かくなってきた。

霧南に5月がやってきた。




「ヒマだーー!!」


昼下がり、libertyの部室でそう叫んだのはナルだ。


「何だよ、いきなり叫ぶな」


ナルへ目を向けて、眉間にシワを寄せているレイはそう言った。


「だってさー、今日からゴールデンウイークだよ??せっかくバスケ昼までなのにヒマすぎ」


仏頂面のナルの言う通り、今日からゴールデンウイーク。
ぼく達は変わらずlibertyで各々好きなことをしている。


「ヒマって言ったって、別にすることないでしょ??部屋の中で大人しく引きこもってる方がいいよ」


映画やテレビが好きなカナデは完璧なインドア。
だからナルの言葉も一刀両断した。


「ボクはナルみんに賛成!ホントヒマなんだけど!」


絵を描いていたセナは疲れたのか、別のことをしたいと思っているらしくナルの意見に賛成した。


「りょうは??」


セナと2人で騒いでいたナルが突然ぼくへ質問してきた。
多分ぼくはどっちサイドなのかの質問だろう。


「ぼくはどっちでもいいよ、みんなで楽しかったらそれで充分」


「えーっ、それじゃあ決まんないじゃんか」


頭をかきながらナルと同じく仏頂面になったセナ。


「じゃあ子供の日近いしパーティーでもするか??小学生ども」


「いやぁ、鯉のぼり持ってくるの大変だしなぁ」


ナル気付いて!
今のはレイはナルとセナをバカにしたんだよ!
鯉のぼりがどうとか関係無いからね!


「兜も持ってくるの大変そうだしな」


って、セナもか。


「2人共本当にバカだね」


呆れたようにセナとナルを見たカナデ。


「そんなにヒマなら、子供の日手伝ってくれない??」


ぼくがそう言うと、4人は不思議そうに頭にハテナマークを浮かべながら見てきた。


「実はね、ぼくの家毎年子供の日には鯉のぼりと兜を飾るんだけど、大人達がぼくと兄さんのために張り切って本格的な鯉のぼり上げるんだよ。でもね、結構大変でなかなか上げるところまでいかないから、人手が欲しいんだ」


よければ手伝ってほしいと伝えればセナとナルは凄く嬉しそうに行くと言ってくれた。

レイとカナデは本格的な鯉のぼりに興味があるらしく、あんなに外に出ることを渋っていたのに行くと言ってくれた。


「ありがとうみんな。それじゃあ5日の昼からぼくの家へ来てね」


どうやらぼくの案でヒマつぶしが出来たようだ。