ただ喜んでもらえるプレゼントを探す。

それだけのことなのに、どうしてボク達はこんなに必死に悩んでいるのかなぁ。

他の子にもバレンタインデーにくれた子はいっぱいいるはずなのに。

女の子大好きなナルさんも、今日は一人の子のことしか考えていない。

どうしてボク達はこんなに必死になっているのかなぁ。

わからない。

だけど、悪くないどころか、楽しい。

悩むことも楽しい。

そう思えるのは、あの子達はそれぞれボク達にとって他の子とは違うから。

他の子達とは違う。

libertyのうち四人はあの子達によって救われた。

お互いどうすることもできずにただ堕ちていたボク達を、救ってくれた。

その恩がボク達にはある。

でも、だからそれも含めたお返し、というのとは何か違う。

いや、もちろん心の底から感謝してもしきれないほどの気持ちを持っているけど、ボク達がそれぞれにこんなに悩んでお返しを考えているのは、果たして救ってくれたお礼が理由なんだろうか??……。

それに、ナルみんはボクを含めた四人とは違ってまだ抜け出せていないはず。

あの子に心の底から感謝しているとは思えない。

それほどの恩はないはず。

なのに、ナルみんはこうして悩みながらお返しを考えている。

正直ナルさんの考えがボクにはわからない。

だけどそれは自分自身のことも。

何の感情に突き動かされてこんなに悩んでいるのか、どうしてなのか、わからない。

その理由を知りたいから自分の中に言及してもいい。

と思うのに、今は何だかそれをする気にはなれない。

みんなも自分がこんなに突き動かされていることをわかって、その理由はわからないことをわかっているはず。

なのに、誰一人としてその言葉を口にしないのは、みんなも同じように今はそれをする気にはなれないから。

だからボクも黙ってプレゼント探しに集中する。

今は答えの出ない自分達の感情より、目の前の答えがきっとあるプレゼント探しのほうが大切だから。


「あっ、これすごいオシャレで可愛い」


そんなことを考えながらあちこち見て回っていると、ふと、アクセサリーを置いてあるショップで可愛らしいネックレスを見つけた。

それは、ペンダントの部分が逆向きの雫形になったもので、隅に自分の好きな天然石を入れられるようになったもの。

ボクの声を聞いた四人は“どれどれ”と後ろから覗き込んだ。