「セナ、おはよう」


ハハハッと愉快そうに瀬那へ笑って言ったリョー。


「リョウキチだけだけだよ…ボクに構ってくれるのは……。みんな酷いっ!!」


顔を両手で隠し、泣いているふりをする瀬那。

「うるさいなぁ、瀬那は」


やっと玲斗は覚醒して欠伸を一つ。
その後ニヤニヤ笑いながら瀬那へ目線を向けた。


「そういえばセツ子、朝校門で女の子に捕まってたね、告白?」


「あぁー、あれね…。リョウキチファンの子だった」


ナルからの質問に溜め息をついた瀬那に「ざまぁww」と言ったナルは鬼だと思う。
けど、瀬那の反応がおもしろいから、悪いけど俺もナルサイドだ。


それにしても………。


「お前達うるさいっ」


本当に、バカみたいに騒ぐコイツ達は俺の言葉を聞いちゃいない。
それどころか、ヒートアップしだした。


「はぁー……」


俺の溜め息にやっとリョーが気付き、リョーによってそれぞれに定位置へ向かった。


「カナ、入学式出る??」


さっきまで寝ていたドアに近いソファへ両足を乗せて胡座をかいている玲斗は、何分か前とは違って、俺へちゃんと目線を向けて笑顔で聞いてきた。


「奏ちゃん絶対出る気ないでしょ?」


玲斗へのしかかっていたナルは、大きな鏡の近くにある椅子へ座り、俺の方へ向いてクスクス笑いながら聞いてきた。


「カナデ卒業式も出てなかったよね??」


玲斗が座っているソファの真正面にあるソファへ座り、読書を始めたリョーは、俺達が一年の頃の卒業式の話をした。


「先輩に対しての敬いゼロかよ」


作業机へ移動した瀬那は昨日書いた下書きを取り出し、絵の色塗りを始めようとしていた。


「いやぁ~、だって先輩との思い出とかないし、出ても大人の長い話聞かされて眠いだけなのがオチだろ?」


さっきからずっといる、窓際に置いてある丸机と2人掛け用のソファが俺の定位置。
俺はそこから返事をした。


「カナデは本当にめんどくさがりだな」


赤の絵の具が付いた筆を俺へ向け瀬那は苦笑いをしてきた。


「うるさい金髪ロン毛。玲斗に置いていかれたくせに」


瀬那へニッと笑って言ってやると思い出したかのように玲斗へケンカを売り出した

それに対して「はー??聞こえませーん」と何事もないかのようにメガネのレンズを拭いている玲斗


「あーもー、またそうやってケンカして…仲良くしようね」


「ほっときなよりょう。玲斗と瀬那は幼なじみなんだから、一応仲はいいから」


仲裁に入ろうとしたリョーと、それを止めるナル。
かと思ったらナルはケンカに参加しだした。


「だ・か・ら……うるさい」


笑顔で3人に言ってやればとりあえず土下座をしてきた。