外のこの寒さ、桜は咲く気配なんか微塵もない。
明日からはまた暖かくなるというから、本当にこの時期の気温の変動は激しい。
「でもまあ……晴れてよかったよな」
肌寒い屋上で一人、俺は真っ青な空を見上げた。
俺達には関係のない日、だけど晴れてよかったと思う今日。
屋上から校庭を見下ろせば、そこには胸元に花を挿し、筒状のものを手に持った3年達。
そしてその人達に集まる2年や1年。
楽しげに笑う声や悲しみで泣きじゃくる声。
3月1日、卒業式。
卒業式なんてかったるいもんにlibertyが参加するはずもなく、去年同様、俺達は部室でいた。
卒業式終了後、部室に滞在してると担任が俺達を叱りに来るのは目に見えているため、それぞれの健闘を祈りながら俺達は別々に。
他の四人はいったいどこにいるのか知らねーが、俺は屋上で一人フェンスに体重を預けて突っ立っている。
「岡本玲斗!、はいっ!!、……なーんて来年には俺もやるのか……」
一人来年の卒業式のことを思って、実感ねー、と笑う。
「そもそも卒業以前に3年になる実感がねーんだよなぁ」
部活は総体後からずっと1年と2年だけでやってきた。
俺はナルと一緒に副キャプテンという立場でチームを引っ張ってきた。
libertyは俺達五人で作ったものだから、先輩とか後輩とかそういうのないからずっと何も変わらない。
授業とかで3年と関わることはない。
3年が卒業をしたところで、きっと俺の生活は何も変わらない。
ただ俺が一つ上の学年に上がるだけ。
それだけの話。
「!!」
そう思いながら下を眺めると、ふと俺の視界によく知った人物。
大勢のバスケ部に囲まれたその人は、元キャプテンの日向さん。
泣く後輩達に対し、日向さんは困ったように笑っている。
その光景はまるで総体のあのときと同じ。
泣かないキャプテン。
本当は一番辛かったはずなのに。
本当は誰より一番悔しかったはずなのに。
それでも、あの日……総体終わりの体育館で日向さんは言った。
俺達が全国行ったときにしか泣かないと決めた、と。
あのときのその言葉、それから、ニッと笑ったあの笑顔はずっと忘れない。
だけど……、それでも一度くらい、日向さんの泣いた顔を見てみたい。
だから……。
「日向さああぁぁぁん!!、俺達絶対全国行ってやりますからああぁぁぁ!!」
何だ何だと騒めく校庭。
俺は叫ぶだけ叫んで、見つかる前にしゃがみ込む。
馬鹿げた行動なのは重々承知。
それでも、ちゃんと宣言しときたい。
そんで、有言実行ってやつをしてやりますから。
「岡本!!、お前卒業式サボってこんなところにいたのか!!」
清々しく笑っていると突然開いた屋上の扉。
そこから登場したのは俺達の担任。
「やっべ……」
やっぱ叫ぶんじゃなかったな。
「このまま職員室だ!来いっ!!」
「へいへい」
怒る担任に返事をし、少し後悔。
それでも……。
「岡本、お前何笑ってるんだ」
「いーえ、べっつにー」
後悔よりも満足感のほうがデカイんだから、まあ良しとするか。
他の後輩達みたいに可愛くなくてすんません。
でも、俺はこれが日向さんに会う最後だとは思ってないんで。
次に会うのは近いうち、二〜三ヶ月後の総体、全国大会で。
明日からはまた暖かくなるというから、本当にこの時期の気温の変動は激しい。
「でもまあ……晴れてよかったよな」
肌寒い屋上で一人、俺は真っ青な空を見上げた。
俺達には関係のない日、だけど晴れてよかったと思う今日。
屋上から校庭を見下ろせば、そこには胸元に花を挿し、筒状のものを手に持った3年達。
そしてその人達に集まる2年や1年。
楽しげに笑う声や悲しみで泣きじゃくる声。
3月1日、卒業式。
卒業式なんてかったるいもんにlibertyが参加するはずもなく、去年同様、俺達は部室でいた。
卒業式終了後、部室に滞在してると担任が俺達を叱りに来るのは目に見えているため、それぞれの健闘を祈りながら俺達は別々に。
他の四人はいったいどこにいるのか知らねーが、俺は屋上で一人フェンスに体重を預けて突っ立っている。
「岡本玲斗!、はいっ!!、……なーんて来年には俺もやるのか……」
一人来年の卒業式のことを思って、実感ねー、と笑う。
「そもそも卒業以前に3年になる実感がねーんだよなぁ」
部活は総体後からずっと1年と2年だけでやってきた。
俺はナルと一緒に副キャプテンという立場でチームを引っ張ってきた。
libertyは俺達五人で作ったものだから、先輩とか後輩とかそういうのないからずっと何も変わらない。
授業とかで3年と関わることはない。
3年が卒業をしたところで、きっと俺の生活は何も変わらない。
ただ俺が一つ上の学年に上がるだけ。
それだけの話。
「!!」
そう思いながら下を眺めると、ふと俺の視界によく知った人物。
大勢のバスケ部に囲まれたその人は、元キャプテンの日向さん。
泣く後輩達に対し、日向さんは困ったように笑っている。
その光景はまるで総体のあのときと同じ。
泣かないキャプテン。
本当は一番辛かったはずなのに。
本当は誰より一番悔しかったはずなのに。
それでも、あの日……総体終わりの体育館で日向さんは言った。
俺達が全国行ったときにしか泣かないと決めた、と。
あのときのその言葉、それから、ニッと笑ったあの笑顔はずっと忘れない。
だけど……、それでも一度くらい、日向さんの泣いた顔を見てみたい。
だから……。
「日向さああぁぁぁん!!、俺達絶対全国行ってやりますからああぁぁぁ!!」
何だ何だと騒めく校庭。
俺は叫ぶだけ叫んで、見つかる前にしゃがみ込む。
馬鹿げた行動なのは重々承知。
それでも、ちゃんと宣言しときたい。
そんで、有言実行ってやつをしてやりますから。
「岡本!!、お前卒業式サボってこんなところにいたのか!!」
清々しく笑っていると突然開いた屋上の扉。
そこから登場したのは俺達の担任。
「やっべ……」
やっぱ叫ぶんじゃなかったな。
「このまま職員室だ!来いっ!!」
「へいへい」
怒る担任に返事をし、少し後悔。
それでも……。
「岡本、お前何笑ってるんだ」
「いーえ、べっつにー」
後悔よりも満足感のほうがデカイんだから、まあ良しとするか。
他の後輩達みたいに可愛くなくてすんません。
でも、俺はこれが日向さんに会う最後だとは思ってないんで。
次に会うのは近いうち、二〜三ヶ月後の総体、全国大会で。