ボクは小学生のときサッカーをしていた。
本当は始めたのは幼稚園のときからだけど、本格始動は小学生のときから。
幼なじみのレイが野球で、ボクはサッカー。
誰もが知る有名なスポーツのうちの二つをそれぞれがしていて、お互いの家族もよく応援に行ったり来てくれたり。
ボク達はよくどちらかの家に遊びに行ったとき、野球を見るかサッカーを見るかとチャンネル権を奪い合い、どちらがより面白いものであるのかを競い合い、そしてどちらも楽しいと笑い合った。
種目は異なるけど、ボク達は切磋琢磨するように打ち込んでいた。
ボクがサッカーを好きだった理由は、レイとのこの張り合いが楽しかったから、というのも一つの理由だったのかもしれない。
もちろん最大の理由は、その競技に魅了されたからというのが大きいだろう。
様々な役割を担った選手が、華麗にボールをパスする様子。
広いゴールを一人のキーパーが守り抜く様子。
大きなフィールドを、力一杯、その一つのボールだけを目指して走り回る様子。
そして、それ達を全て自分の味方に付けたとき、仲間からの信頼を得たパスを受け、守護神が守るそこへと蹴り入れる。
それがゴールしたその瞬間、ワッと盛り上がる会場、仲間、そして己自身。
その興奮と歓喜とせり上がるようなよくわからない高揚感。
ボクはきっと中毒だった。
いつもそれを得ていたいと望んでいた。
欲しくて、欲しくて、欲しくて。
いつも必死に手に入れようともがいた。
ボクはきっと中毒だった。
それを失うことは恐怖であると思っていた。
怖くて、怖くて、怖くて。
それを失わないようにともがいた。
小学生のとき、本格的に始めたのをきっかけに、ボクの人生はサッカーを中心に回っていた。
年齢が高くなるごとに、身長は伸び、足は長くなり、肩幅も広くなる。
それに従って、足は速くなるし、ぶつかっても転ばないようになった。
だんだんと、学年が上がるたびに上手くなっていくのがわかり、それが嬉しくて仕方がなかった。
そしてどんどんボクの人生の中心にサッカーがきて、もうサッカー無しではいられなくなった。
小学生のとき、ボクにはライバルがいた。
榛名惟澄(はるな いずみ)と間宮翔大(まみや しょうだい)。
二人はボクが今までに出会った誰よりサッカーが上手くて、誰よりサッカーを愛していた。
ボクにとってそれまでライバルだったのはレイだけ。
でも二人に出会ったそのとき、初めて、同じ場で闘うライバルができた。
そしてそれは、二人もボクのことを、ボクが二人を見るのと同じようにボクを見てくれていた。
嬉しかった。
お互いに認め合いつつ、それでも上を目指すためには勝たなければいけない相手。
幼なじみで友達でライバルだったレイとは違い、幼なじみにも友達にもなれない二人。
ただの“ライバル”でしかない二人。
勝ちたい、もっと上に行きたい。
二人には負けない、ボクが上に行くんだ。
いつもそれを胸に掲げていた。
そして小学校最後の試合のとき、ボク達は誓い合った。
「今度は負けない……次は必ず俺達が……」
「そうだね、僕達が必ず」
「だから待っていろ!……次こそ負かしてやるから!」
「せっちゃん、これからもお互いライバルとして頑張っていこうね」
それは中学に上がっても、サッカーを続けろというもの。
「言われなくても、もちろんだ」
頷き、握手を交わした。
ボク達は誓い通り、別々の中学で、サッカーをした。
今までと変わらない、サッカー中心の人生。
幼稚園から中学1年のときは、サッカーでそう熱くなるのも、キラキラしていてよかった。
そう、中学1年のときまでは……。
本当は始めたのは幼稚園のときからだけど、本格始動は小学生のときから。
幼なじみのレイが野球で、ボクはサッカー。
誰もが知る有名なスポーツのうちの二つをそれぞれがしていて、お互いの家族もよく応援に行ったり来てくれたり。
ボク達はよくどちらかの家に遊びに行ったとき、野球を見るかサッカーを見るかとチャンネル権を奪い合い、どちらがより面白いものであるのかを競い合い、そしてどちらも楽しいと笑い合った。
種目は異なるけど、ボク達は切磋琢磨するように打ち込んでいた。
ボクがサッカーを好きだった理由は、レイとのこの張り合いが楽しかったから、というのも一つの理由だったのかもしれない。
もちろん最大の理由は、その競技に魅了されたからというのが大きいだろう。
様々な役割を担った選手が、華麗にボールをパスする様子。
広いゴールを一人のキーパーが守り抜く様子。
大きなフィールドを、力一杯、その一つのボールだけを目指して走り回る様子。
そして、それ達を全て自分の味方に付けたとき、仲間からの信頼を得たパスを受け、守護神が守るそこへと蹴り入れる。
それがゴールしたその瞬間、ワッと盛り上がる会場、仲間、そして己自身。
その興奮と歓喜とせり上がるようなよくわからない高揚感。
ボクはきっと中毒だった。
いつもそれを得ていたいと望んでいた。
欲しくて、欲しくて、欲しくて。
いつも必死に手に入れようともがいた。
ボクはきっと中毒だった。
それを失うことは恐怖であると思っていた。
怖くて、怖くて、怖くて。
それを失わないようにともがいた。
小学生のとき、本格的に始めたのをきっかけに、ボクの人生はサッカーを中心に回っていた。
年齢が高くなるごとに、身長は伸び、足は長くなり、肩幅も広くなる。
それに従って、足は速くなるし、ぶつかっても転ばないようになった。
だんだんと、学年が上がるたびに上手くなっていくのがわかり、それが嬉しくて仕方がなかった。
そしてどんどんボクの人生の中心にサッカーがきて、もうサッカー無しではいられなくなった。
小学生のとき、ボクにはライバルがいた。
榛名惟澄(はるな いずみ)と間宮翔大(まみや しょうだい)。
二人はボクが今までに出会った誰よりサッカーが上手くて、誰よりサッカーを愛していた。
ボクにとってそれまでライバルだったのはレイだけ。
でも二人に出会ったそのとき、初めて、同じ場で闘うライバルができた。
そしてそれは、二人もボクのことを、ボクが二人を見るのと同じようにボクを見てくれていた。
嬉しかった。
お互いに認め合いつつ、それでも上を目指すためには勝たなければいけない相手。
幼なじみで友達でライバルだったレイとは違い、幼なじみにも友達にもなれない二人。
ただの“ライバル”でしかない二人。
勝ちたい、もっと上に行きたい。
二人には負けない、ボクが上に行くんだ。
いつもそれを胸に掲げていた。
そして小学校最後の試合のとき、ボク達は誓い合った。
「今度は負けない……次は必ず俺達が……」
「そうだね、僕達が必ず」
「だから待っていろ!……次こそ負かしてやるから!」
「せっちゃん、これからもお互いライバルとして頑張っていこうね」
それは中学に上がっても、サッカーを続けろというもの。
「言われなくても、もちろんだ」
頷き、握手を交わした。
ボク達は誓い通り、別々の中学で、サッカーをした。
今までと変わらない、サッカー中心の人生。
幼稚園から中学1年のときは、サッカーでそう熱くなるのも、キラキラしていてよかった。
そう、中学1年のときまでは……。