ついこの間までクリスマスや大晦日、お正月など、イベント事で目白押しだったのに、気付けば冬休みが終わって早10日以上。

冬休みに入る前、散々寒い寒いと言ってきたけど、冬休みが終わってしまった今の方がよっぽど寒い。

教室には暖房が点いているから授業中は暖かいけれど、女の子はスカートのため、窓から入る隙間風で足が寒い。

でも暖房があるだけありがたいと思ってそれを口には出さず、心の中だけで留めておく。

いつもなら“寒い寒い”と心の中でバレないように呟くけれど、今日は何だか少し心がポカポカして、いつもより寒いと思わない。

それはたぶんきっと、今日、1月18日があたし、伊吹舞璃の誕生日だからかな。



「舞璃」


放課後。

ホームルームが終わり、帰りの挨拶を済ませた後、教室中がガヤガヤと騒がしくなる。

そんな中、あたしは部活に向かうため鞄の中に荷物を入れていた。

すると、トントンと後ろから優しく肩を叩かれ、同時にあたしの名前を呼ばれる。

振り返ると、そこにいたのはあたしの中学からの大親友である4人。

詩音、杏奈、瑠美、蛍だった。


「どうしたの??」


手を止めて4人にそう尋ねる。


「舞璃、部活行くの急ぐ??」


コテンと首を傾げた詩音にあたしは首を左右に振る。


「それじゃあちょっとだけ時間くれない??」


あたしの返答にニコッと笑ってお願いする蛍。


「ごめんね、すぐだから」


それに続けて申し訳なさそうに微笑む瑠美。


「大丈夫だよ、どうしたの??」


「舞璃!こっちこっち!」


何か用事かな??と尋ねたあたしの手を、杏奈がクイッと引っ張る。

不思議に思いつつ、4人と同じように鞄を手に、それに着いて行った。



連れて来られたのは移動教室とかのときに使う、どこのクラスのでもない教室。

入ると、そこもちゃんと暖房が利いていて暖かい。


「あっかーい、ねっ……!!」


ここまで移動するまでの間の廊下は寒かったけど、ここは暖かい。

そのことにホワッとして同意を求めるように4人を見ると、4人はあたしの正面に一列になるように並んでいた。

それに驚いているのも束の間、4人はニッコリと笑みを浮かべ……。


「舞璃誕生日おめでとう!!」


それぞれあたしへのプレゼントを鞄から出して手にしながら一斉に言ってくれたその言葉。

あたしは目を見開いて驚いた。

忘れていたわけじゃないけど、まさかこうしてお祝いをしてくれるなんて思っていなくて、喜びより先に驚きが来た。


「みんなありがとう!」


でもすぐにその驚きより嬉しさの方が勝り、あたしは笑ってお礼を言った。