「あけましておめでとうございます」
「「「あけましておめでとうございます!」」」
正座をしながら言った俺の一声に、同じく正座をした目の前にいる三人が元気な声と共に一斉にお辞儀をした。
右から長男の玲斗、次男の太陽、長女の紬。
三人共、俺と柚ちゃんの大切な子供達。
「それじゃあさっそく、お年玉配りまーす」
「「「わーい」」」
「元気がないぞー!、お年玉欲しいかー!?」
「「「わーい!!」」」
毎年恒例のこのやりとり。
素直な子供達で父親としては嬉しい限り。
「はい、これがつむちゃんで、これが太陽、これが玲斗」
「パパありがとう!」
「父ちゃんありがとう!!」
「斎綺さんありがとうございます」
ポケットから3つのぽち袋を取り出し、それをそれぞれ渡すべき相手の前に差し出す。
つむちゃんは母親である柚ちゃんに似た、目を細める笑顔でお礼を言って受け取る。
次に太陽は元気いっぱい嬉しそうに声を上げ、飛び跳ねながら受け取った。
そして最後に玲斗。
玲斗はまるで賞状を受け取るときみたいに、ぽち袋を両手で受け取り、深々とお辞儀をしてお礼を言った。
言葉だけ聞くと、何て礼儀正しい子だろうと思うだろうけど、玲斗は畏まってやってるんじゃなく、わざとやってるだけ。
こういうところ、俺もよく柚ちゃんに“お調子者なんだから”と肩を竦められながら言われたっけ。
親子ってやっぱり似るものだね、柚ちゃん。
「さーて、俺はお節の準備してくるから、ここ綺麗にしといてね」
いつもの食卓ではなく、柚ちゃんの仏壇がある場所での食事。
床に座布団をひいて、脚の短いテーブルが今日の食卓。
そのため、テーブルや座布団をそこに出す必要があるため、冷蔵庫に入れているお節を取りに向かう前に、子供達にセッティングを頼んだ。
ちゃんと三人が返事をしたのを確認し、俺は台所へ席を立つ。
「父ちゃんスゲー!太っ腹!、兄ちゃんはいくら入ってんの??」
少しして聞こえてきた元気な声、これは太陽だな。
ぽち袋の中に入っている金額についての話をしているみたいだけど、太陽が聞くとお金の話なのに全然やらしく聞こえないから不思議だ。
というか、そんなことより先にセッティングしろよー??
そんなことを思いながら一人クスリと笑みを零し、冷蔵庫に入れてあったお節を取り出す。
そのとき、バタバタと音を立て、こちらに向かってくる足音。
これは……。
「玲斗ー、新年早々どうしたー??」
まだ遠くにいるため大きな声でそう言うと、案の定、姿を現したのは玲斗。
「斎綺さんっこれっ!!」
お節をテーブルの上に置き、飲み物の準備をしていると、すぐ近くに来た玲斗が何かを突き出してきた。
チラリと目線を向けると、それはさっき渡したお年玉。
「それが??」
「金額!、高すぎでしょ!?」
焦ったような声でそう言った玲斗。
俺はそんな玲斗をじっと見た後、すぐに食器を出す作業に戻った。
「ちょっ、聞いてる!?、この金額っ……」
「異論は受け付けません。はい、玲斗それとそれ持って来て」
なおも喰い下がってくる玲斗の言葉を無理矢理遮り、仕事を与えると、自分はさっさと他の物を持って部屋から出た。
後ろから玲斗の呼び止める声がするけど気にしない。
「頑張りすぎだよ、長男」
ドアを閉め、聞こえないようにそう呟く。
玲斗には今までつむちゃんのことやお義父さんお義母さんのこと、太陽のこと、家のこと、他にもいろんなことで無理をさせてきた。
長男で、俺達にワガママなんて言わないものだから、俺もそれについ甘えてしまっていた。
でも、玲斗の友達、libertyのみんなといるときの玲斗を見て思ったんだ。
“俺は玲斗のこの笑顔を長い間見ていない”
好き勝手やって、楽しんで、ふざけあって……。
そんな玲斗の笑顔を長い間見れていなかった。
いっぱい甘えてしまったけど、やっぱり親としては子供のそういう表情を見たい、そのためならもっと甘えずに俺自身が頑張ろうと思える。
だから昨日、さっそく実践した。
弟や妹の世話、家事とかで年末を過ごすんじゃなく、友達と初詣へ行って楽しんでほしいと思い、無理矢理で外に追い出したみたいになったけど、玲斗を初詣へ向かわせた。
そして帰ってきた玲斗の笑顔、俺が見たかった笑顔だった。
来年から玲斗は3年生で、いろいろ忙しくなるだろう。
だから今年、いっぱい友達と遊んでほしい。
お年玉の金額が過去最高額なことに焦っていたけど、俺としてはまだ足りないくらい。
それくらい、玲斗には何もかもお世話になったから。
だから……。
「ほら玲斗遅いぞ」
「だって斎綺さんがっ」
「兄ちゃん早く早く!!」
「れーくんはやくぅ!」
「うっ……わかったよ!」
だから玲斗、お年玉の金額くらいで騒ぐな。
男なら……、いや、子供なら、素直に親に従いなさい。
これくらい、甘えてくれよ。
これから先は。
「「「あけましておめでとうございます!」」」
正座をしながら言った俺の一声に、同じく正座をした目の前にいる三人が元気な声と共に一斉にお辞儀をした。
右から長男の玲斗、次男の太陽、長女の紬。
三人共、俺と柚ちゃんの大切な子供達。
「それじゃあさっそく、お年玉配りまーす」
「「「わーい」」」
「元気がないぞー!、お年玉欲しいかー!?」
「「「わーい!!」」」
毎年恒例のこのやりとり。
素直な子供達で父親としては嬉しい限り。
「はい、これがつむちゃんで、これが太陽、これが玲斗」
「パパありがとう!」
「父ちゃんありがとう!!」
「斎綺さんありがとうございます」
ポケットから3つのぽち袋を取り出し、それをそれぞれ渡すべき相手の前に差し出す。
つむちゃんは母親である柚ちゃんに似た、目を細める笑顔でお礼を言って受け取る。
次に太陽は元気いっぱい嬉しそうに声を上げ、飛び跳ねながら受け取った。
そして最後に玲斗。
玲斗はまるで賞状を受け取るときみたいに、ぽち袋を両手で受け取り、深々とお辞儀をしてお礼を言った。
言葉だけ聞くと、何て礼儀正しい子だろうと思うだろうけど、玲斗は畏まってやってるんじゃなく、わざとやってるだけ。
こういうところ、俺もよく柚ちゃんに“お調子者なんだから”と肩を竦められながら言われたっけ。
親子ってやっぱり似るものだね、柚ちゃん。
「さーて、俺はお節の準備してくるから、ここ綺麗にしといてね」
いつもの食卓ではなく、柚ちゃんの仏壇がある場所での食事。
床に座布団をひいて、脚の短いテーブルが今日の食卓。
そのため、テーブルや座布団をそこに出す必要があるため、冷蔵庫に入れているお節を取りに向かう前に、子供達にセッティングを頼んだ。
ちゃんと三人が返事をしたのを確認し、俺は台所へ席を立つ。
「父ちゃんスゲー!太っ腹!、兄ちゃんはいくら入ってんの??」
少しして聞こえてきた元気な声、これは太陽だな。
ぽち袋の中に入っている金額についての話をしているみたいだけど、太陽が聞くとお金の話なのに全然やらしく聞こえないから不思議だ。
というか、そんなことより先にセッティングしろよー??
そんなことを思いながら一人クスリと笑みを零し、冷蔵庫に入れてあったお節を取り出す。
そのとき、バタバタと音を立て、こちらに向かってくる足音。
これは……。
「玲斗ー、新年早々どうしたー??」
まだ遠くにいるため大きな声でそう言うと、案の定、姿を現したのは玲斗。
「斎綺さんっこれっ!!」
お節をテーブルの上に置き、飲み物の準備をしていると、すぐ近くに来た玲斗が何かを突き出してきた。
チラリと目線を向けると、それはさっき渡したお年玉。
「それが??」
「金額!、高すぎでしょ!?」
焦ったような声でそう言った玲斗。
俺はそんな玲斗をじっと見た後、すぐに食器を出す作業に戻った。
「ちょっ、聞いてる!?、この金額っ……」
「異論は受け付けません。はい、玲斗それとそれ持って来て」
なおも喰い下がってくる玲斗の言葉を無理矢理遮り、仕事を与えると、自分はさっさと他の物を持って部屋から出た。
後ろから玲斗の呼び止める声がするけど気にしない。
「頑張りすぎだよ、長男」
ドアを閉め、聞こえないようにそう呟く。
玲斗には今までつむちゃんのことやお義父さんお義母さんのこと、太陽のこと、家のこと、他にもいろんなことで無理をさせてきた。
長男で、俺達にワガママなんて言わないものだから、俺もそれについ甘えてしまっていた。
でも、玲斗の友達、libertyのみんなといるときの玲斗を見て思ったんだ。
“俺は玲斗のこの笑顔を長い間見ていない”
好き勝手やって、楽しんで、ふざけあって……。
そんな玲斗の笑顔を長い間見れていなかった。
いっぱい甘えてしまったけど、やっぱり親としては子供のそういう表情を見たい、そのためならもっと甘えずに俺自身が頑張ろうと思える。
だから昨日、さっそく実践した。
弟や妹の世話、家事とかで年末を過ごすんじゃなく、友達と初詣へ行って楽しんでほしいと思い、無理矢理で外に追い出したみたいになったけど、玲斗を初詣へ向かわせた。
そして帰ってきた玲斗の笑顔、俺が見たかった笑顔だった。
来年から玲斗は3年生で、いろいろ忙しくなるだろう。
だから今年、いっぱい友達と遊んでほしい。
お年玉の金額が過去最高額なことに焦っていたけど、俺としてはまだ足りないくらい。
それくらい、玲斗には何もかもお世話になったから。
だから……。
「ほら玲斗遅いぞ」
「だって斎綺さんがっ」
「兄ちゃん早く早く!!」
「れーくんはやくぅ!」
「うっ……わかったよ!」
だから玲斗、お年玉の金額くらいで騒ぐな。
男なら……、いや、子供なら、素直に親に従いなさい。
これくらい、甘えてくれよ。
これから先は。