「ありがとうございました」


レジをしてくれた店員さんを含め、奥にいるラッピングをしてくれる店員さんまで、店内の店員さんはみんな微笑ましそうににこやかな笑みをぼく達に向けてくれている。

だけどナル以外の4人は、今はそれが余計に恥ずかしくて耐えられない。

陽気な男子高校生にしか見えないであろう姿を思うと、一番マシなサンタさんを選んだはずのレイも恥ずかしそうに顔を背けている。

ホントぼく達何やってるんだろ……。


「お腹すいたよね~何か食べに行こうか~」


買ったばかりのコスプレグッズを手に、ナルは足取り軽くフードコートへ向かう。

ぼく達は顔を上げられない状態で店内から出た。


「大体さあ、何で玲斗と瀬那も乗っかっちゃったの、ホント信じられない」


「ごめんって、気付いたら後に引けなくてさ」


「そもそも悪いのはナルじゃねーか、変なもん持ってきやがって」


「変なもんじゃないよ~ミニスカサンタだよ~」


ワイワイ騒ぎながらぼく達はこのショッピングモールで人気な超巨大パフェをみんなで食べている。

冬だけど店内は暖かいため、パフェを食べても寒くない。


「まあ、他の人に見られないだけいいと思おうよ、ね??」


未だに言い争っている4人にそう言って、また一口ソフトクリームをスプーンですくい上げて口へ運んだ。



「食材買う前に買いたいものがあるんだけどいいかな??」


パフェを食べ終わり、そろそろ買い物の続きをしようかとフードコートから出る。

そのとき、ぼくは4人にそう頼んだ。


「そりゃあいいけど、リョウキチ何買うの??」


不思議そうに尋ねたセナにぼくは笑顔でこう言った。


「クリスマスプレゼント、小早川さんにね」


普段とってもお世話になっている小早川さんに何かあげたくて、次に会ったときにクリスマスプレゼントとして渡そうと思っていることを伝えると、それにナルが反応した。


「じゃあさ、みんなでそれぞれ女の子達にプレゼント買おうよ~普段とってもお世話になってるしね~」


その言葉にぼくとセナは頷いた。


「まあ確かに、伊吹には世話になってるな」


「俺も瑠美ちゃんから普段お菓子もらってるしね」


拒否するかと思ったけど、レイとカナデも意外にもOKを出した。


「せっかくだから5人お揃いのものをあげない??」


みんながOKを出したところでぼくがそう提案すると、4人はナイスアイデアだと笑顔を浮かべた。

そこでぼく達は食材を買うよりも先にプレゼントを選びに行くことに。


普段入らない女の子が好きそうな雑貨屋に入ったぼく達はどれにしようかといろいろ見て回る。

だけど男のぼく達にはどれがいいのかイマイチよくわからない。


「女の子相手にプレゼントといえばアクセサリーだけど……」


「でも彼氏でもない男からクリスマスにアクセサリーってなぁ……」


ナルの濁した言葉の意味を理解したセナがナルに続けてそう言った。

ナルもそれに苦笑いをして頷いている。


「店員に聞くにしても俺達と瑠美ちゃん達の関係をどう説明すればいいのかわからないしね」


「女友達ってわけじゃねーし、後輩の女……って言っても店員が何薦めていいか困るだろうしな」


店員さんをチラッと見て首を横に振るカナデに続き、レイもカナデの言葉に頷きながらそう言った。