「ねえ、何してるの」


さあどうしようかと考えていると、どこに行っていたのか、カナデが登場。


「カナデ、実はね……」


今までの経緯を説明すると、涼しい顔がどんどん歪んでいく。

ふざけるなと言わんばかりのその表情にぼくはただ苦笑いをしておくことしかできない。


「男に二言はねー!いざ尋常に勝負!!」


「大丈夫、ボクなら勝てる、己の右手を信じろ」


「フッこの俺に勝とうなんて百万年早い!!」


「カナデ、もう3人は止められないみたいだよ」


「はあーー……こんなことならずっとこいつ達見ておくんだったな……」


もう逃げられないこの状況。

ぼく達は高らかに手を挙げて、音頭に合わせて手を振り下ろした。


「っしゃ!!俺サンタ!」


勝ったのはレイ。

ガッツポーズをしたレイは一番マシなズボンタイプのサンタさんの服を選んだ。


「あっ……勝っちゃった」


第2ラウンド。

勝ったのはぼく。

肩を落とすセナとカナデには悪いけど、ぼくはサンタさんの次にマシな、さっきレイがぼくに被せてきたベージュのトナカイの着ぐるみを手に取った。


「……トナカイがまだマシ……だよね」


第3ラウンド。

勝ったのはカナデ。

こういうの着たりするキャラじゃないからどれを着ても罰ゲームだろうけど、カナデは自分に言い聞かせるようにブラウンのトナカイの着ぐるみを手に取った。


「まさかここまで俺が負け続けるなんてね」


「次こそは絶対勝つ、ミニスカサンタはキツい」


バチバチと火花を散らしながら最後の勝負が幕を切った。


「「ジャーンケーンッ!!」」


この勝負を征したのは……。


「よっしゃ!!ミニスカサンタ回避!!」


チョキで勝利したセナ。


「おぉーー、これもこれで微妙……だけどミニスカサンタよりマシかぁ……」


そしてセナが手に取ったのはモミの木をイメージしたフリル付きポンチョと星のヘアゴム。


「ダッセー!!言い出しっぺが負けてやんの!!」


「ナルみんってホントこういうときジャンケン弱いよなー」


「ナルミニスカサンタ頑張れ」


敗者のナルは自ずとミニスカートのサンタさんに決定。

レイはそれを指を指して笑い、セナはしみじみとした様子でそんなことを言う。

カナデはニヤニヤ笑いながら思ってもいない応援。


「ちょっと待って、ナルって……」


一緒に笑っていたぼくはあることを思い出し笑うのを止めた。

だってナルって……。


「ミニスカサンタとか超可愛いじゃん!俺にま・か・せ・て」


パチンとウィンクをしてハートを飛ばすナル。

それを見てさっきまで笑っていた3人も思い出したらしい。

ナルが女装とか結構楽しむ人だと。

霧南祭のときがいい例だよね。

あのとき女装喜んでいたのナルくらいだもんね。

つまりこれは、ナルがどこで勝とうが負けようが、ナルは全然痛くもかゆくもないってこと。

罰ゲームなのはぼく達だけっていうことだよね。