「ジングルべールッジングルべールッ鈴がー鳴るー♪」


「鈴のーリズムにーひかりの輪が舞っうー♪」


「ジングルベ~ルジング~ル鈴が~鳴る~♪」


「「「森に林に響きながっ」」」


「うるさいっ」


バシンッという痛そうな音とともに、3つの痛がる声が響く。


「いってーー!!カナ手加減しろよ!!」


そう言って背中をさするのはさっきまで楽しそうにジングルベルジングルベル歌っていたレイ。


「いやいや、レイはまだマシだから、ボク顔面直撃だから」


そう言って顔を手で覆っているのはレイに続けて歌っていたセナ。


「奏ちゃ~ん??何で俺の時だけ威力強くなってんのかな~??」


そう言って後頭部を抑えてうずくまっているのは2人に続けて歌っていたナル。


「うるさいよ、ここをどこだと思っているの」


痛がる様子を見下ろして冷たい目を向けているのは、さっきまで大声で歌っていた3人を鞄で殴ったカナデ。

ぼくはそんな4人に苦笑いを送った。


ぼく達が今いるのは霧南一の大型ショッピングモール。

クリスマスを明日に控えた今日、12月24日はクリスマス・イヴ。

そんな日になぜぼく達は男だけでここにいるのかというと、それは明日、みんなでクリスマスパーティーをしようということになったから。

今日はその準備のためにいろいろ買い物をしに来たんだけど……。

店内に飾られているクリスマスツリーやイルミネーション、その他にもたくさんあるクリスマスグッズを見て、テンション上がったレイとセナとナルが歌い出してしまった。

もちろんクリスマス・イヴなんて人がたくさんいるわけで、みんなこっちを見ている。

そりゃあカナデも怒るよね。


「ほら、そろそろ行こうよ。明日の準備できなくなるよ??」


あまり長くここにいるわけにもいかないから、ぼくは4人にそう言った。

ぼくの言葉に4人はようやく「そうだった」という感じで歩みを進める。


「切り返しが早いなぁ」


スタスタと歩いていく4つの背中にぼくはふふっと笑う。


「りょう~置いてくよ~??」


「今行くよ」


立ち止まっていたぼくを振り返って不思議そうな顔をする4人。

ぼくはもう一度笑みを漏らしてから駆け足で4人のもとへ向かった。