俺は逃げている。
本当はどうしたいのかわかっているくせに、ただ逃げている。
俺をもう一度走らそうとしてくれているハル君からも逃げている。
俺のために悲しんでくれている瑠美ちゃんからも逃げている。
俺はいつも逃げている。
そんなことはわかっている。
だけど、じゃあ、
「どうしろって言うんだよっ!!どうしたらいいんだよっ!!どうするべきなんだよっ!!」
帰路の途中、逃げてきた俺は、膝から崩れ落ち、1人叫ぶ。
そんな答え、誰もくれやしないのに。
馬鹿みたいだ、答えを求めるなんて。
いや、それよりも、こんなところでこんな大声を出すなんて……。
「長坂先輩っ!!」
「っ!!」
俺の名前を叫ぶのは、さっき俺が逃げてきた瑠美ちゃんの声。
息を切らせて俺の名前を叫んだ。
「もういいからっ……俺のことは気にしなくていいからっ」
瑠美ちゃんがここに来るよりも早く、俺は家の方へ足を進めた。
「長坂先輩っ長坂先輩っ!!」
遠くから聞こえる瑠美ちゃんの声。
「っ……」
その声をシャットアウトするように、耳をふさぎ、ただ家へ向かって進む俺。
「どうして……俺は逃げてばかり……」
俺の気持ちに整理がついていなくても、眠れば朝はやってくる。
俺の考えがグチャグチャでも、息をしていれば時間は過ぎていく。
「カナデ、昨日のっ」
「ごめん瀬那」
放課後、4人が真剣な顔をして俺のところにきた。
朝はそんなことなかったのに、わざわざ放課後にこうしているということは……。
それを予想したから、瀬那が何を言おうとしているのかはわかる。
だから俺は何も言わすまいとそれを遮り、1人ドアの方へ歩みを進めた。
「カナ待てよ!!」
しかしそんな俺を帰すまいと叫んだ玲斗の声に教室中が何事かと静まり返った。
「奏ちゃん……逃げるな」
こんなときばかり真面目な顔をしないでよナル。
「カナデ、ハル君から聴いたよ」
リョーのその言葉に驚いて振り返った。
4人がもう、昨日俺に何があったのか知っていたなんて……。
真っ直ぐに俺を見る4人の目は嘘をついているようではない。
だけど、それなら余計に……。
「ごめん……」
俺はまた逃げた。
「俺は……どうしたらっ……」
逃げてきたのは学校近くの小さなスタジアム。
陸上をしていた頃、よく走った場所。
そこで俺は1人、立ち尽くしていた。
「長坂先輩っ!!」
「っ!!?」
どうしてここが……。
上の観覧席から聞こえたその声は瑠美ちゃん。
なぜここにいるのかわからなくて、俺は困惑していた。
「先輩はいつも陸上部に行くと高跳びやハードルや幅跳びばかりをして他の競技はしようとしませんよね!?」
走ってきたのか、まだ整っていない息。
苦しいだろうに、そんなことお構いなしで、下にいる俺に届くように叫ぶ。
「私ずっと、それは先輩が短距離を辞めてから地上にいるのが嫌で空にいられる飛ぶ競技ばかりをしているのだと思っていました!!」
「………」
「だけどそれは違いました!!」
瑠美ちゃんは……。
「先輩が飛ぶ競技ばかりを選んでいたということではなくてっ!!その3つが唯一だったから!!」
瑠美ちゃんは何を言おうと……。
「その3つだけが走れるから!!」
「っ!?」
「先輩は踏み切って跳ぶ瞬間や重力に身を任せて落ちていくときよりもっ跳ぶ前の助走や、ハードルを越える前、越えた後のダッシュをしている方が楽しそうに見えます!!」
「っ……」
そんなの有り得ない……。
だって俺は……。
本当はどうしたいのかわかっているくせに、ただ逃げている。
俺をもう一度走らそうとしてくれているハル君からも逃げている。
俺のために悲しんでくれている瑠美ちゃんからも逃げている。
俺はいつも逃げている。
そんなことはわかっている。
だけど、じゃあ、
「どうしろって言うんだよっ!!どうしたらいいんだよっ!!どうするべきなんだよっ!!」
帰路の途中、逃げてきた俺は、膝から崩れ落ち、1人叫ぶ。
そんな答え、誰もくれやしないのに。
馬鹿みたいだ、答えを求めるなんて。
いや、それよりも、こんなところでこんな大声を出すなんて……。
「長坂先輩っ!!」
「っ!!」
俺の名前を叫ぶのは、さっき俺が逃げてきた瑠美ちゃんの声。
息を切らせて俺の名前を叫んだ。
「もういいからっ……俺のことは気にしなくていいからっ」
瑠美ちゃんがここに来るよりも早く、俺は家の方へ足を進めた。
「長坂先輩っ長坂先輩っ!!」
遠くから聞こえる瑠美ちゃんの声。
「っ……」
その声をシャットアウトするように、耳をふさぎ、ただ家へ向かって進む俺。
「どうして……俺は逃げてばかり……」
俺の気持ちに整理がついていなくても、眠れば朝はやってくる。
俺の考えがグチャグチャでも、息をしていれば時間は過ぎていく。
「カナデ、昨日のっ」
「ごめん瀬那」
放課後、4人が真剣な顔をして俺のところにきた。
朝はそんなことなかったのに、わざわざ放課後にこうしているということは……。
それを予想したから、瀬那が何を言おうとしているのかはわかる。
だから俺は何も言わすまいとそれを遮り、1人ドアの方へ歩みを進めた。
「カナ待てよ!!」
しかしそんな俺を帰すまいと叫んだ玲斗の声に教室中が何事かと静まり返った。
「奏ちゃん……逃げるな」
こんなときばかり真面目な顔をしないでよナル。
「カナデ、ハル君から聴いたよ」
リョーのその言葉に驚いて振り返った。
4人がもう、昨日俺に何があったのか知っていたなんて……。
真っ直ぐに俺を見る4人の目は嘘をついているようではない。
だけど、それなら余計に……。
「ごめん……」
俺はまた逃げた。
「俺は……どうしたらっ……」
逃げてきたのは学校近くの小さなスタジアム。
陸上をしていた頃、よく走った場所。
そこで俺は1人、立ち尽くしていた。
「長坂先輩っ!!」
「っ!!?」
どうしてここが……。
上の観覧席から聞こえたその声は瑠美ちゃん。
なぜここにいるのかわからなくて、俺は困惑していた。
「先輩はいつも陸上部に行くと高跳びやハードルや幅跳びばかりをして他の競技はしようとしませんよね!?」
走ってきたのか、まだ整っていない息。
苦しいだろうに、そんなことお構いなしで、下にいる俺に届くように叫ぶ。
「私ずっと、それは先輩が短距離を辞めてから地上にいるのが嫌で空にいられる飛ぶ競技ばかりをしているのだと思っていました!!」
「………」
「だけどそれは違いました!!」
瑠美ちゃんは……。
「先輩が飛ぶ競技ばかりを選んでいたということではなくてっ!!その3つが唯一だったから!!」
瑠美ちゃんは何を言おうと……。
「その3つだけが走れるから!!」
「っ!?」
「先輩は踏み切って跳ぶ瞬間や重力に身を任せて落ちていくときよりもっ跳ぶ前の助走や、ハードルを越える前、越えた後のダッシュをしている方が楽しそうに見えます!!」
「っ……」
そんなの有り得ない……。
だって俺は……。
