何でこんな風になってしまっているのかわからない。
「早くどこかに行きなよ。俺だってここにいたくない」
そう吐き捨てて携帯を乱暴にポケットに突っ込んだのは10分前。
俺達は初めて大きなケンカをした。
ちょっとした口喧嘩や冗談でのケンカは今までに何度かあった。
だけどこんな風に大きなケンカを全員でしたのは初めて。
「子供っぽい……」
言わなくていいことや言ってはいけないことまで吐き捨てた自分にため息が出る。
「しかも俺は行きたいとこなくて校内彷徨いているってどうなの……」
他の4人はそれぞれ行きたいところや行くべきところに行った。
だけど俺はそんなところなくて、とりあえず頭を冷やすために校内をゆっくり彷徨いている。
そんな行動をしている自分に余計にため息が出るよ。
「長坂先輩!」
「!!」
ちょうど階段を降りようとしているとき、後ろから俺を呼ぶ声がした。
振り返ると、そこにいたのは瑠美ちゃん。
「探しました、今日のお菓子を渡したくて……どうかしましたか??」
「えっ??」
笑顔で近付いてきた瑠美ちゃん。
だけど俺のすぐ近くに来ると笑顔は消えて心配そうな顔になった。
どうしたのかと尋ねると、瑠美ちゃんはこう返した。
「だって何だか悲しそうです」
すぐに指摘されるほど、そんなにも酷い顔をしていたのか。
そんなこと聞かなくてもわかる。
だって、瑠美ちゃんの目に映っている俺は本当に悲しそうな顔をしているから。
「………」
「無理に話してくれなくてもいいですよ」
驚いた。
何となく言いたくなくて黙ってしまった俺に笑ってそう言ってくれたから。
「先輩は誰かに慰めてもらったりするタイプじゃないです。私も誰かを慰めれるタイプじゃないです」
「瑠美ちゃん……」
「だけど先輩のことは元気付けたいと思います」
どういう意味なのか、俺は瑠美ちゃんの言葉の続きを待った。
「そしてこれが私なりの元気の付け方です」
「これ……ドーナツ」
差し出してくれたのはたくさん輪っかの入った袋。
持つとまだ少し温かくて、何だか一気に力が抜けた気がした。
「ドーナツって1人で食べてもあまりおいしく感じませんよね。だから誰かと一緒に食べてください」
「瑠美ちゃん!……本当は……」
本当は気付いてくれていたんだ。
俺がlibertyのみんなと何かあったのだと。
だけど意固地になって言わない俺を気遣って……。
「……ケンカなんてしょうもないから嫌いなんだ。感情的になるのもめんどうだし」
「はい」
「謝る謝らないとかもめんどうなんだよ……、どうせその場限りの友情だからね」
「はい」
「……だけど今回はそうじゃない」
「いってらっしゃい、先輩」
俺は急いで元来た道を帰っていく。
あの場所に繋がる道を。
「あの言葉はっ!!」
偶然なのか必然なのかわからないけれど、部室前に集まった俺達。
俺は柄にもなく声を張り上げて想いを伝えていた。
「瑠美ちゃん」
「おかえりなさい」
さっきの階段のところには瑠美ちゃんが待ってくれていた。
階段に腰を下ろして笑顔でいる。
俺もその隣に腰を下ろした。
「これありがとう」
そして瑠美ちゃんに差し出す。
「本当に、すごくおいしかったよ」
「よかったです」
それは輪っかの消えた袋。
5人で食べて消えた輪っかの入っていた袋。
「1人じゃおいしくないですから」
瑠美ちゃん流の元気の付け方は確かに俺を元気付けてくれた。
瑠美ちゃんの作ってくれたお菓子のおかげ。
いや、それだけじゃない。
こうして笑顔でいてくれる瑠美ちゃん自身のおかげ。
「早くどこかに行きなよ。俺だってここにいたくない」
そう吐き捨てて携帯を乱暴にポケットに突っ込んだのは10分前。
俺達は初めて大きなケンカをした。
ちょっとした口喧嘩や冗談でのケンカは今までに何度かあった。
だけどこんな風に大きなケンカを全員でしたのは初めて。
「子供っぽい……」
言わなくていいことや言ってはいけないことまで吐き捨てた自分にため息が出る。
「しかも俺は行きたいとこなくて校内彷徨いているってどうなの……」
他の4人はそれぞれ行きたいところや行くべきところに行った。
だけど俺はそんなところなくて、とりあえず頭を冷やすために校内をゆっくり彷徨いている。
そんな行動をしている自分に余計にため息が出るよ。
「長坂先輩!」
「!!」
ちょうど階段を降りようとしているとき、後ろから俺を呼ぶ声がした。
振り返ると、そこにいたのは瑠美ちゃん。
「探しました、今日のお菓子を渡したくて……どうかしましたか??」
「えっ??」
笑顔で近付いてきた瑠美ちゃん。
だけど俺のすぐ近くに来ると笑顔は消えて心配そうな顔になった。
どうしたのかと尋ねると、瑠美ちゃんはこう返した。
「だって何だか悲しそうです」
すぐに指摘されるほど、そんなにも酷い顔をしていたのか。
そんなこと聞かなくてもわかる。
だって、瑠美ちゃんの目に映っている俺は本当に悲しそうな顔をしているから。
「………」
「無理に話してくれなくてもいいですよ」
驚いた。
何となく言いたくなくて黙ってしまった俺に笑ってそう言ってくれたから。
「先輩は誰かに慰めてもらったりするタイプじゃないです。私も誰かを慰めれるタイプじゃないです」
「瑠美ちゃん……」
「だけど先輩のことは元気付けたいと思います」
どういう意味なのか、俺は瑠美ちゃんの言葉の続きを待った。
「そしてこれが私なりの元気の付け方です」
「これ……ドーナツ」
差し出してくれたのはたくさん輪っかの入った袋。
持つとまだ少し温かくて、何だか一気に力が抜けた気がした。
「ドーナツって1人で食べてもあまりおいしく感じませんよね。だから誰かと一緒に食べてください」
「瑠美ちゃん!……本当は……」
本当は気付いてくれていたんだ。
俺がlibertyのみんなと何かあったのだと。
だけど意固地になって言わない俺を気遣って……。
「……ケンカなんてしょうもないから嫌いなんだ。感情的になるのもめんどうだし」
「はい」
「謝る謝らないとかもめんどうなんだよ……、どうせその場限りの友情だからね」
「はい」
「……だけど今回はそうじゃない」
「いってらっしゃい、先輩」
俺は急いで元来た道を帰っていく。
あの場所に繋がる道を。
「あの言葉はっ!!」
偶然なのか必然なのかわからないけれど、部室前に集まった俺達。
俺は柄にもなく声を張り上げて想いを伝えていた。
「瑠美ちゃん」
「おかえりなさい」
さっきの階段のところには瑠美ちゃんが待ってくれていた。
階段に腰を下ろして笑顔でいる。
俺もその隣に腰を下ろした。
「これありがとう」
そして瑠美ちゃんに差し出す。
「本当に、すごくおいしかったよ」
「よかったです」
それは輪っかの消えた袋。
5人で食べて消えた輪っかの入っていた袋。
「1人じゃおいしくないですから」
瑠美ちゃん流の元気の付け方は確かに俺を元気付けてくれた。
瑠美ちゃんの作ってくれたお菓子のおかげ。
いや、それだけじゃない。
こうして笑顔でいてくれる瑠美ちゃん自身のおかげ。
