私の言葉に意味不明といった顔をした部員達。
私はレシピをホワイトボードに急いで書き、3年生はレアチーズケーキ、2年生はミルフィーユ、そして私も含め1年生はクッキーを作ることにした。
「クッキーはプレーンと抹茶とココアの3種類を作ろうと思うの。みんな協力お願い」
そう言うと、みんな1年生のみんなは大きく頷き、急いでクッキー作りに取りかかった。
そして、なんとか全てが仕上がった私達は、お皿への盛り付けをし、パーティーの準備も終わらせた。
その時、ちょうど他の部活の人達がやって来て、休む暇もなくパーティーが始まった。
何となくわかっていた。
みんなクッキーよりもケーキの方へ目が行き、クッキーは全くお皿から減っていかない。
「はぁ……」
ここに置いておいてもしょうがない。
そう思ってクッキーのお皿は下げ、調理室の誰もいない隣の教室へ移動し、ラッピングの袋へ詰め始める私。
他の1年生達はお客さんと話をしたりして楽しそうにしていたので、私1人で作業をすることにした。
「(いいんだけどね……やっぱり、作っても誰も食べてくれないのは辛いなぁ……)」
そんな風に考えながら黙々と作業をしていた。
そこへ、突然手が伸びてきて抹茶のクッキーを1枚さらっていった。
それに驚いて、手が戻って行く方に目で追いかけていくと、いつの間にいたのか、1人の男子生徒が立っていた。
「何これ美味しい!」
口の中へクッキーを入れ、そう言ってくれた。
「あの……」
「これ君が作ったの??」
「レシピは私のですけど、作ったのは1年生の調理部員みんなでです」
そう伝えると「すごいね、君」と褒めてくれた。
「そんなことないです……結局クッキーは全部余っちゃって……」
さっきまでのことを伝えると、笑い出した。
「みんなアホだからね、腹持ちいいほうが好きなんだよ。だけど俺は、クリーム嫌いだし、抹茶大好きだからケーキよりこのクッキーの方がいいな」
そう言って今度はプレーンのクッキーを1枚口へ運んだ。
「よかったらさ、このクッキー全部俺がもらってもいい??」
「えっ??……」
「俺の部活、libertyっていうんだけどね、それの部員達にも食べさせてやりたいし、俺ももっと食べたい」
「だけど、こんなにたくさんあるのに大丈夫なんですか??」
「無理しなくても」と伝えると、今度はココアのクッキーを口へ運んだ。
「高2男子は育ち盛りだからね。そうじゃなくても、こんなに美味しいものなら何枚でも大丈夫だよ」
そう言って笑ってくれた先輩。
「あっ、自己紹介まだだったね。俺は2年4組の長坂奏」
「わっ、私は1年4組の神崎瑠美です……」
名前を伝えると、「瑠美ちゃんか」と言って笑顔を見せた長坂先輩を見て、私は、さっきまで悲しかった感情は今はもうなくなっていることに気付いた。
私はレシピをホワイトボードに急いで書き、3年生はレアチーズケーキ、2年生はミルフィーユ、そして私も含め1年生はクッキーを作ることにした。
「クッキーはプレーンと抹茶とココアの3種類を作ろうと思うの。みんな協力お願い」
そう言うと、みんな1年生のみんなは大きく頷き、急いでクッキー作りに取りかかった。
そして、なんとか全てが仕上がった私達は、お皿への盛り付けをし、パーティーの準備も終わらせた。
その時、ちょうど他の部活の人達がやって来て、休む暇もなくパーティーが始まった。
何となくわかっていた。
みんなクッキーよりもケーキの方へ目が行き、クッキーは全くお皿から減っていかない。
「はぁ……」
ここに置いておいてもしょうがない。
そう思ってクッキーのお皿は下げ、調理室の誰もいない隣の教室へ移動し、ラッピングの袋へ詰め始める私。
他の1年生達はお客さんと話をしたりして楽しそうにしていたので、私1人で作業をすることにした。
「(いいんだけどね……やっぱり、作っても誰も食べてくれないのは辛いなぁ……)」
そんな風に考えながら黙々と作業をしていた。
そこへ、突然手が伸びてきて抹茶のクッキーを1枚さらっていった。
それに驚いて、手が戻って行く方に目で追いかけていくと、いつの間にいたのか、1人の男子生徒が立っていた。
「何これ美味しい!」
口の中へクッキーを入れ、そう言ってくれた。
「あの……」
「これ君が作ったの??」
「レシピは私のですけど、作ったのは1年生の調理部員みんなでです」
そう伝えると「すごいね、君」と褒めてくれた。
「そんなことないです……結局クッキーは全部余っちゃって……」
さっきまでのことを伝えると、笑い出した。
「みんなアホだからね、腹持ちいいほうが好きなんだよ。だけど俺は、クリーム嫌いだし、抹茶大好きだからケーキよりこのクッキーの方がいいな」
そう言って今度はプレーンのクッキーを1枚口へ運んだ。
「よかったらさ、このクッキー全部俺がもらってもいい??」
「えっ??……」
「俺の部活、libertyっていうんだけどね、それの部員達にも食べさせてやりたいし、俺ももっと食べたい」
「だけど、こんなにたくさんあるのに大丈夫なんですか??」
「無理しなくても」と伝えると、今度はココアのクッキーを口へ運んだ。
「高2男子は育ち盛りだからね。そうじゃなくても、こんなに美味しいものなら何枚でも大丈夫だよ」
そう言って笑ってくれた先輩。
「あっ、自己紹介まだだったね。俺は2年4組の長坂奏」
「わっ、私は1年4組の神崎瑠美です……」
名前を伝えると、「瑠美ちゃんか」と言って笑顔を見せた長坂先輩を見て、私は、さっきまで悲しかった感情は今はもうなくなっていることに気付いた。
