だけどそれは、俺達の思考を裏切った。


「似合うじゃないか。やはり私の思った通りだ」


そう言った臥龍先輩が用意してくれた俺達の仮装とは。


「当たり前じゃないですか~、俺に似合わないものなんてありませんよ~」


首元にシフォン生地のスカーフを巻きブローチを付け、白のカッターシャツを着て、その上に襟の立っている外側が黒で内側が赤のマントを付け、犬歯が長いつけ歯の牙をしているナルの仮装はドラキュラ。


「またそんなに自信満々に……確かにみんなよく似合ってるけどね」


ボーダーのシャツの上に、手首と首元にファーの付いたジャケットを着て、頭には狼のミミの付いたフード、ズボンにフサフサの尻尾を付けられたリョーの仮装は狼男。


「リョウキチも十分似合ってるよ、なんか可愛らしい感じ」


白いYシャツの所々が破れていたりして腹筋が見え隠れしていて、その上至る所に真っ赤な返り血が付いたのを着て、顔も青白く、目元はクマができているように黒くメイクされた瀬那の仮装はゾンビ。


「瀬那ゾンビのくせに筋肉見せてんじゃねーよ、俺も負けてねーから」


上に紺色のコートを羽織り、前が開けられたコートの下には腹部を斜めに切られ腹筋が見えるようになっている黒のシャツを着て、頭にネジ、額や目や腹筋には縫い目のようなメイクをした玲斗の仮装はフランケンシュタイン。


「なんの自慢それ。っていうか本当にこれで今日一日過ごすの??」


そして、白のYシャツと黒のノースリーブジャケットの上に黒のマントを着て、首元にネクタイ、頭にシルクハット、目の部分だけ穴の開いた顔の半分を覆える白の仮面をを付けた俺の仮装はファントム。


まさかこんなちゃんとしたのを選んでくるなんて思ってなくて、衣装を渡された時に俺達は5人揃って驚いてしまった。

とは言え、ちゃんとしているが、やはりこれで一日中過ごすなんて面倒くさい。

だけどそう思っているのは俺だけみたいで、4人はワイワイと楽しそうにしている。


「気が乗らないか??」


「イイエソンナコトアリマセン」


ボーッと4人を見て突っ立っていた俺に声をかけてきた臥龍先輩。

俺は片言になりながら返事をすると、それを聞いた臥龍先輩はフッと表情を和らげた。


「今は気が乗らなくても、必ず楽しいと思える時が来る、あの子達に会えば」


「えっ??あの子達って??」


「ほら、そろそろハロウィンイベントに参加しに行け、お菓子も手配しているからこれを持って行けばいい」


意味深な言葉の意味は教えてくれず、カゴに大量に入ったお菓子を手渡され、俺達は生徒会室から出された。