ガラッ。

その音にドアへ目を向けると、低血圧でテンション最低のやつが来た。


「おはよう、玲斗。瀬那は??」


「……おはよう、カナ……置いてきた」


俺へ目線を一瞬向けてソファを占領したコイツは岡本玲斗(おかもと れいと)。

普段は部のムードメーカー的存在だが、稀に朝に弱く、一緒に登校しているやつを置いて来たりする。
今日は玲斗は不機嫌MAX。
だからこんな日の朝、玲斗はそっとしておいたほうがいい。

だけど1人だけ、そんなことお構いなしなやつがいる。


ガラッ。


またドアの音がしてそっちへ目を向けると朝から元気なやつと、爽やかな笑顔を向けてくるやつが来た。


「玲斗ーー!!」


「……」


名前を叫び、寝ている玲斗へ飛びつこうとしたら玲斗に無言で睨まれたのは松岡成海(まつおか なるみ)。

ウザい・しつこい・うるさいがモットー。
黙ってればモテるけど、たまに変態くさかったりするから目に見えてはモテない。
玲斗が大好きだと公言していつもちょっかいかけているが玲斗からはスルーされている。
一応言っておくけど、別にホモではない。


「朝からナル元気すぎだよ。おはようカナデ、おはようレイ」


ナルへ苦笑いしたあと、俺と玲斗に満面の笑みを送ってきたのは荒川涼桔(あらかわ りょうき)。

誰より一番優しくて、爽やかなやつ。
涙もろいところがあって、結構自分に素直。
だけど、自分の悩みは1人で抱え込んだりしてしまい、案外打たれ弱いところもある。
基本俺達のストッパー役で、一番苦労してんじゃないかと思う。
あと、力が一番強い。


「奏ちゃんおはよう!」


「おはよう、ナル。玲斗めっちゃ睨んでるからね、早く気付きなよ」


「りょーすけおはよう。助けて、ナルが俺のソファ奪う……」


「ナル、レイの上に座らない」


既に騒がしくなった部室。
だけどもう1人、一番騒がしいやつがいる。


ガラッ。


「オッハヨーー!!」


「………」


「えっ、無視?ねぇ無視?酷くね!?」


無駄にポーズを決め、みんなに無視されるというイジリを受けたのは後藤瀬那(ごとう せな)。

イジラレキャラで、カッコつけてみたりしても常に遊ばれる。
変態発言ではナルとタッグを組んでるアホなやつ。
真面目な話するときには真剣に聞いてくれて、何だかんだ本当にいいやつ。
あっあと、今日玲斗に置いていかれたやつね。


それから、俺。
長坂奏(ながさか かなで)

コイツ達には「めんどくさがり屋」「自由人」とか、いろいろ言われているけど、そんなでもない……と思いたい。
好き嫌いがハッキリしていて、思ってることを割とズバッと言ってしまうのは俺の悪いとこだと思う。
あと、イタズラをするのが好きだし、どんなやつでもイジルのが好きだ。