な~んて……。
意気込んで出て来たけど……。


「ネタなんてそう簡単に見つかるわけじゃないしね~……」


だから探しに行くの嫌だったんだよ。

そうため息を吐いてみてもこの現状は変わるわけはない。
そもそも言い出したの俺だしね~……。

普段なかなかため息なんて吐かない俺。
だけど今日だけでもう何度目かわからない何度目かのため息を吐きつつ廊下を歩いている。


「ん??あれは……」


すると目の前に見知った顔を見つけた。


「臥龍せんぱ~い」


「松岡」


歩いているだけなのにすごいオーラ。

ヒラヒラ手を振って近付くと、こっちに気付いた臥龍先輩がふっと顔を上げた。


「先輩そんなにたくさんの紙持ってどうしたんですか~??」


「これは今日のリーダー研修で使うものだ」


「リーダー研修??」


臥龍先輩によると、今日は定期的に行われている東西南北の4校の生徒会が集まるリーダー研修の日らしい。

毎回開催される学校は順番に転々としているらしく、今回はウチの霧南の持ち回りだそう。


「もうすぐ生徒会も後期に入るから新体制になるんだ。だから今日は1年生同士の顔合わせを主に行うのと、各校の意見交換をするんだ」


生徒会ってホント大変そうだよね~。


「そうだ、松岡少しだけ手伝ってくれないか??」


「えっ??俺突然生徒会の仕事とか言われてもわかんないですよ~??」


思い付いたように突然俺に仕事を与えようとする先輩。
だけどそれはさすがに無理だよね。


「難しいことではない。ただ、場所が変更になったことを昇降口で他校を待っている生徒会の1年に言ってきてほしい」


「それくらいなら」


「すまない。場所はこの書類に書いてあるから、これを渡してくれればいい」


それだけ言って、再びすごいオーラを放ちながら急ぎ足で去っていった。

残された俺は書類を手に言われた場所へ。


「いや、待てよ」


向かおうとしたが、ある名案が浮かんだ。


「これって最高のヒマつぶしじゃ~ん」


スキップでもしそうなほど軽い足取りで踵を返し、俺はlibertyの部室へと戻った。


「早かったね、何か見つけた??」


ドアを開けてすぐに聞こえたりょうの声に4人を見ると、さっきと何も変わっていないダルダルした光景。


「ふふん!見つけたよ~!最高のヒマつぶしをね??」


パチンとウィンクをしながら答えると、怪訝な顔で俺を見る4人。


「今からなるんだよ、1年生に」


付け加えて言ったその言葉に、余計に意味がわからないという表情を向けてきた。