俺達libertyはヒマをつぶすために作った部活。
それはつまり、俺達はいつもヒマだということ。


「ヒマだな……」


「ヒマだね……」


ソファーを占領するように寝転がる玲斗。
そして、その玲斗の言葉に頷いたのは、椅子の背もたれをギコギコと音を出しながら前後に揺れるセツ子。


「何かおもしろいことないかなぁ」


「学校での行事とか、今の時期何もないしね」


りょうは玲斗と向かい合わせに置かれたもう1つのソファーに座って天井を仰いでいる。
そして奏ちゃんはりょうに返事をするように、窓際に置かれた椅子からため息混じりの声を発した。

みんなヒマ過ぎてただダラダラとしている。


「こんなんじゃlibertyにコケでも生えそうだよね~、それかキノコ」


やることがなくてジメジメとした雰囲気に、俺は苦笑い。


「誰かヒマな人がヒマつぶしを探しに行くっていうのはどお??」


「それ結局全員だよね」


ニコニコ笑って名案を言ったかのように見えるりょうの発言。
それはすぐに奏ちゃんによって一刀両断された。


「まあまあ、落ち込むなよりょーすけ!」


「さすがリョウキチ。天然だよねー」


少しだけ肩を落としたりょうにケラケラと明るく笑いながら慰めてあげる玲斗。
セツ子はりょうに聞こえないくらい小さな声でそう呟いた。


「じゃあさ~、ジャンケンでもしようか~。それで負けた人がヒマつぶし探しに行くってことで~」


俺のその案に4人は乗っかってくれた。

ヒマをつぶしたいけどヒマつぶし探しは面倒。
だけどヒマをつぶすのはやっぱりヒマつぶしネタが必要。

だから俺達全員の心は一緒だった。
絶対にジャンケン負けられない、と。


「いくよ~ジャ~ンケ~ン」


俺の音頭に合わせて全員が手を上へ掲げる。

そして………。


「そんなこともあるよっ」


「おう、そうだなっ」


「まさか負けるなんてね……」


「いってらっしゃい」


「玲斗もセツ子も笑わないでよ!奏ちゃんとりょうは肩震えてるの見えてるから!」


チョキを出して1発で負けたのは俺。
4人は言い出した俺が負けたことを笑っている。
ホントムカつく!!


「もう~!!いってきます!!」


ジャンケンなんて言い出さなければよかった。
そう思いながら、少し乱暴に扉を閉めて俺はヒマをつぶすためのネタを探しに出た。


「絶対おもしろいの探してきてやるんだから~!!」