「それにしても、何だか今日はみんな早いね。いつもはぼくより遅いのに」


それともぼくがいつもより遅いのかな??

そう思って時計をチラッと見てみるけれど、別にそんなことはないようで、ますますなぜなのかがわからない。


「それマジで言ってんのか??」


「えっ??何が??」


眼鏡の向こう側にある目を大きく開いたレイ。
そんなレイの言葉の意味もわからず、ぼくはただ首を傾げた。


「りょうって本当天然だよね~」


冗談ぽく肩をすくめて見せたナル。
ぼくは頭にハテナハークを浮かすばかり。


「本当にわかんない??全く??」


薄く笑うカナデに、答えが知りたいぼくはコクコクと頷く。


「リョウキチ、今日は何の日だ??」


「今日??」


ナルの髪を結び終え、椅子に座って、ぼくを見上げるセナからのヒント。
それによって浮かんだのは1つの答え。


「もしかして……ぼくの誕生日??」


その言葉と同時に、4人は「大正解」と笑って言った。

まさかぼくの誕生日のために早く登校してくれるなんて思ってなくて、ぼくは驚いてしまった。


「てことで~、りょう誕生日おめでとう~!」


仕切り直すようにパンッと手を叩き、ぼくへプレゼントを手渡すナル。


「ハッピーバースデーリョウキチ」


それに続いてセナからもプレゼントを手渡される。


「りょーすけHAPPY BIRTHDAY」


セナのプレゼントの上に重なるようにしてプレゼントを置いたレイ。


「おめでとうリョー」


そして普段なかなか見せないくらい優しい笑顔でプレゼントを机の上に置いたカナデ。


「みんなありがとう。本当にすごく嬉しい」


libertyのなかで1番誕生日が遅いぼく。
みんなは「やっと17だね」と笑っている。
ぼくはそれに笑って頷いた。







「荒川先輩誕生日おめでとうございます!」


「涼桔先輩おめでとうです!」


「荒川おめでとうー!」


放課後、空手部へ向かい、部室で着替えを済まして道場へ向かうと、そこには先に来ていた部員達が、後輩も同学年の人も含めて1列に並んでいた。

どういうことかと驚いていると、一斉にぼくの誕生日に対しての祝いの言葉をくれた。


「ありがとう、みんな」


部員のみんながわざわざこんなことをしてくれるなんて……。

少し恥ずかしいと思う気持ちもあるけれど、やっぱり感謝の気持ちの方が大きい。